2017年にアメリカで制作された映画『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(原題:The Post)は、1971年のアメリカが舞台で、ベトナム戦争に関するアメリカ国防総省の最高機密文書にまつわる実話を元にして作られた社会派映画です。
スティーブン・スピルバーグが監督を務め、アメリカの主要新聞で初の女性新聞発行人となったキャサリン・グラハムをメリル・ストリープが、ワシントン・ポスト紙の編集主幹ベン・ブラッドリーをトム・ハンクスが演じています。
第90回アカデミー賞では作品賞・主演女優賞の2部門にノミネートされました。
『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』の挿入曲
『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』の挿入曲を流れた順番に紹介していきます。(ネタバレにご注意ください)
1966年、ダニエル・エルズバーグが戦地を訪れ戦況調査をする
グリーン・リバー
Artist | クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル(Creedence Clearwater Revival) カリフォルニア州エルセリトで結成されたアメリカのロックバンド。略称CCR。 |
リリース | 1969年 |
作曲者 | ジョン・フォガティ(John Fogerty) アメリカのミュージシャン/音楽プロデューサー、1945年カリフォルニア州バークレー生まれ。 クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル(CCR)のギタリスト/ヴォーカリスト。 |
抗議デモで歌われている曲
邦題『はげしい雨が降る』
Artist | ボブ・ディラン(Bob Dylan) アメリカのシンガーソングライター、1941年生まれ。 1962年のレコードデビュー以来半世紀以上にわたり人々に多大なる影響を与え続けている史上最も偉大なシンガーソングライターの一人。映画『ワンダー・ボーイズ』(2000) の主題歌『シングス・ハヴ・チェンジド』でアカデミー歌曲賞を受賞。また、2016年には歌手として初めてノーベル文学賞を受賞した。 |
リリース | 1963年 |
作曲者 | ボブ・ディラン |
ベンがキャサリン邸を突然訪れる(パーティールームで流れている曲)
Artist cover ver. | ピーター・デューチン(Peter Duchin) アメリカのピアニスト/バンドリーダー、1937年生まれ。 |
リリース | 1966年 |
作曲者 | バートン・レーン(Burton Lane, 1912-1997) アメリカの作曲家/作詞家。 1957年からアメリカ作家作曲者組合の会長を務め、その後10期にわたって音楽著作権侵害に対するキャンペーンを行ったことで知られる。 |
アラン・ジェイ・ラーナー(Alan Jay Lerner, 1918-1986) アメリカの作詞家/リブレット作家。 映画『巴里のアメリカ人』(1951) でアカデミー脚本賞を、『恋の手ほどき』(1958) ではアカデミー脚色賞/歌曲賞の2冠を受賞した。 | |
Original ver. | 1965年:ルイ・ジュールダン(Louis Jourdan, 1921-2015) フランスの俳優。 |
『On a Clear Day (You Can See Forever)』は、1965年初演のブロードウェイ・ミュージカル『晴れた日に永遠が見える』のタイトル曲です。このミュージカルは1970年にバーブラ・ストライサンド(Barbra Streisand)主演で映画化されています。
ベンがキャサリン邸を引きあげる(パーティールームで流れている曲)
Artist cover ver. | The Peter Duchin Orchestra |
ピーター・デューチン(Peter Duchin) アメリカのピアニスト/バンドリーダー、1937年生まれ。 | |
リリース | 1984年 |
作曲者 | チャールズ・ストラウス(Charles Strouse) アメリカの作曲家/作詞家、1928年生まれ。 |
リー・アダムズ(Lee Adams) アメリカの作詞家、1924年生まれ。 | |
Original ver. | 1960年:ディック・ヴァン・ダイク(Dick Van Dyke) アメリカの俳優/脚本家/映画製作者。 |
『Put on a Happy Face』は、1960年初演のブロードウェイミュージカル『バイ・バイ・バーディー』(Bye Bye Birdie)のミュージカルナンバーです。
このミュージカルは、1958年、人気絶頂期の歌手エルヴィス・プレスリーがアメリカ陸軍に徴兵されたことにヒントを得て、劇作家マイケル・スチュワートが書いた本が原作となっています。
キャサリンの主催でハリーの退職を祝うパーティーが開かれる
ラヴ・ウォークド・イン
Artist cover ver. | The Peter Duchin Orchestra |
ピーター・デューチン(Peter Duchin) アメリカのピアニスト/バンドリーダー、1937年生まれ。 | |
リリース | 1984年 |
作曲者 | ジョージ・ガーシュウィン(George Gershwin, 1898-1937) アメリカの作曲家/ピアニスト。 15歳からティン・パン・アレーで試演ピアニストとして働き、ブロードウェイで曲を書くようになり『スワニー』(1919) で成功を収める。その後、作詞家となった兄アイラと組んでレビューやミュージカル向けにポピュラー・ソングを送り出し、数多くのスタンダード・ナンバーを残す。 『ラプソディ・イン・ブルー』『パリのアメリカ人』などジャズとクラシックを融合させた作品で世界的に評価され、20世紀アメリカを代表する作曲家として知られる。 |
アイラ・ガーシュウィン(Ira Gershwin, 1896-1983) アメリカの作詞家。ジョージ・ガーシュウィンの兄。 1924年から弟ジョージとソングライティング・チームを組み、20世紀を代表する数多くの楽曲を残した。 | |
Original ver. | 1938年:ケニー・ベイカー(Kenny Baker, 1912-1985) アメリカの歌手/俳優。 |
『Love Walked In』は、1931年頃に書かれ、1938年のミュージカル映画『ゴールドウィン・フォリーズ』(THE GOLDWYN FOLLIES)で初披露されました。
映画『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』で何度か開かれたキャサリン邸でのパーティーシーンでは、全て、ピーター・デューチン(Peter Duchin)の演奏が使われています。
ピーター・デューチンは、1956年の伝記映画『愛情物語』でその半生が描かれたピアニスト、エディ・デューチンの息子です。
エディ・デューチンと社交界の人気者の母のもとNYで生まれ、早くに両親を亡くしたピーターは、両親の親しい友人であった政治家夫婦によって育てられました。
ピーターの養父、W・アヴェレル・ハリマンは、ニューヨーク州知事を務めた人物です。その後、国務次官を務め、ケネディ政権時に始まったベトナム戦争をめぐり悪化するアジア諸国との関係強化に尽力し、ニクソン政権下においては、ベトナム和平交渉のアメリカ代表(1968年〜69年)として重要な役割を果たしたことでも知られています。
『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』のサントラ
『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』は、ジョン・ウィリアムズ(John Williams)が音楽を担当しました。
ジョン・ウィリアムズは、アメリカを代表する映画音楽作曲家です。スピルバーグ監督とは『ジョーズ』(1975)『E.T.』(1982)『インディ・ジョーンズ』シリーズなど、50本以上の作品でタッグを組んでいます。
※サントラ収録曲
1. The Papers(ペンタゴン・ペーパーズ)
2. The Presses Roll(輪転機)
3. Nixon’s Order(ニクソンの指令)
4. The Oak Room, 1971(オークルーム、1971年)
5. Setting The Type(組み版)
6. Mother And Daughter(母と娘)
7. Scanning The Papers(文書の複写)
8. Two Martini Lunch(トゥ・マティーニ・ランチ)
9. Deciding To Publish(決意の発行)
10. The Court’s Decision And End Credits(判決とエンド・クレジット)

『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』キャスト・スタッフ
監督 | スティーヴン・スピルバーグ(Steven Spielberg) |
脚本 | リズ・ハンナ(Liz Hannah) |
ジョシュ・シンガー(Josh Singer) | |
製作 | エイミー・パスカル(Amy Pascal) |
スティーヴン・スピルバーグ(Steven Spielberg) | |
クリスティ・マコスコ・クリーガー(Kristie Macosko Krieger) | |
音楽 | ジョン・ウィリアムズ |
配給 | 20世紀フォックス |
東宝東和 | |
公開 | 2018年1月12日 |
2018年3月30日 | |
上映時間 | 116分 |
キャサリン・グラハム:メリル・ストリープ(Meryl Streep)
ベン・ブラッドリー:トム・ハンクス(Tom Hanks)
トニー・ブラッドリー:サラ・ポールソン(Sarah Paulson)
ベン・バグディキアン:ボブ・オデンカーク(Bob Odenkirk)
フリッツ・ビーブ:トレイシー・レッツ(Tracy Letts)
アーサー・パーソンズ:ブラッドリー・ウィットフォード(Bradley Whitford)
ロバート・マクナマラ:ブルース・グリーンウッド(Bruce Greenwood)
ダニエル・エルズバーグ:マシュー・リース(Matthew Rhys)
ラリー・グラハム・ウェイマウス:アリソン・ブリー(Alison Brie)
メグ・グリーンフィールド:キャリー・クーン(Carrie Coon)
ロジャー・クラーク:ジェシー・プレモンス(Jesse Plemons)
アンソニー・エッセイ:ザック・ウッズ(Zach Woods)
ハワード・サイモンズ:デヴィッド・クロス(David Cross)
フィル・ジェイリン:パット・ヒーリー(Pat Healy)
ジーン・パターソン:ジョン・ルー(John Rue)
マレー・マーダー:リック・ホームズ(Rick Holmes)
チャルマーズ・ロバーツ:フィリップ・キャズノフ(Philip Casnoff)
ジュディス・マーティン:ジェシー・ミューラー(Jessie Mueller)
エイブ・ローゼンタール:マイケル・スタールバーグ(Michael Stuhlbarg)
アン・マリー・ローゼンタール:デボラ・グリーン(Deborah Green)
ドナルド・E・グラハム:スターク・サンズ(Stark Sands)
マイケル:ウィル・デントン(Will Denton)
リズ・ハイルトン:ジェニファー・ダンダス(Jennifer Dundas)
ジェームズ・グリーンフィールド:クリストファー・インヴァー(James L. Greenfield)
ニール・シーハン:ジャスティン・スウェイン(Justin Swain)
リチャード・ニクソン:カーゾン・ドベル(Curzon Dobell)
同じキャストが出演している映画/関連映画
コメント