1987年に製作された『フルメタル・ジャケット』(原題:Full Metal Jacket)は、スタンリー・キューブリック監督によるベトナム戦争映画です。
原作はグスタフ・ハスフォードが実体験を元に書いた小説『ショート・タイマーズ』で、第60回アカデミー賞では脚色賞にノミネートされました。
『フルメタル・ジャケット』の挿入曲
『フルメタル・ジャケット』の挿入曲を流れた順番に紹介していきます。(ネタバレにご注意ください)
新兵がバリカンで頭を丸坊主にされるシーン
Hello Vietnam
作曲:Tom T. Hall
アーティスト:Johnny Wright
リリース年:1965年
『Hello Vietnam』は、「The Storyteller」の愛称で知られるカントリーミュージックの作曲家/短編小説作家、トーマス・ホールが作った曲です。
カントリー歌手ジョニー・ライトが歌い、1965年にリリースされました。
訓練でハートマン軍曹と新兵達が唱和する曲
Military cadence(ミリタリーケイデンス)
『Military cadence』は、軍隊訓練時の走行中または行進中に歌われる掛け合いのワークソングです。軍曹の呼びかけに他の隊員が答辞する形式で、一定のリズムを保って唱和されます。
ハートマン軍曹主導のもとクリスマスに新兵達が歌わせられる曲
Happy Birthday
作曲:Mildred J. Hill and Patty S. Hill
イエス・キリストの誕生を祝って歌われます。
卒業式での行進曲
The Marines Hymn
演奏:The Goldman Band
『The Marines Hymn(海兵隊讃歌)』は、アメリカ海兵隊公式の軍歌です。1929年に認可された、アメリカ軍における最古の公式歌です。
ベトナム人女性が腰を振りながら歩いてくるシーン
These Boots Are Made for Walkin’
作曲:Lee Hazlewood
アーティスト:Nancy Sinatra
リリース年:1965年
『These Boots Are Made for Walkin’』は、アメリカのシンガーソングライター/音楽プロデューサー、リー・ヘイズルウッド(Lee Hazlewood)が作った曲です。
ナンシー・シナトラが歌い1965年にリリースされました。
『にくい貴方』の邦題でも知られています。
ナンシー・シナトラは、アメリカが世界に誇るエンターテイナー、フランク・シナトラと最初の妻との間にできた長女です。(シナトラは4回結婚しています)
17歳で父親のテレビバラエティシリーズに出演して歌手としてのキャリアをスタートさせました。
ここで使われている『にくい貴方』、父親とのデュエット曲『恋のひとこと』(原題:Somethin’ Stupid)、『007は二度死ぬ』の主題歌などのヒットにより60年代に人気を博しました。
ベトナム人の女は、店のテラス席でビールを飲んでいるジョーカーとラフターマンのところに近づきカタコトの英語で話しかけます。
旧正月の祝日テトに花火が打ち上げられ、ジャック達が兵舎でくつろぐシーン
Chapel Of Love
作曲:Jeff Barry, Ellie Greenwich and Phil Spector
アーティスト:The Dixie Cups
リリース年:1964年
『Chapel Of Love』は、ニューオーリンズ出身の女性ボーカルグループ、ディキシー・カップス(The Dixie Cups)のデビュー曲です。
『愛のチャペル』の邦題でも知られています。
ジョーカーとカウボーイの再会シーン
Wooly Bully
作曲:Domingo Samudio
アーティスト:Sam the Sham and The Pharaohs
リリース年:1964年
『Wooly Bully』は、ダラス出身のメキシコ系アメリカ人、サム・ザ・シャム率いるバンド「サム・ザ・シャム・アンド・ザ・ファラオス」の曲です。
ダラスを拠点に活動していたビッグバンド、ビッグ・ボー & ジ・アロウズ(Big Bo and The Arrows)の『Hully Gully Now』(1962) をリメイクして作られた曲で、ブルース歌手ジュニア・パーカーの『Feelin’ Good』(1953)がベースとなっています。
歌詞は「Hully Gully」が「Wooly Bully」に置き換えられ、その他いくつかが変更されリリースされましたが、その歌詞が理由で一部のラジオ局はこの曲を放送禁止にしました。
戦闘の様子がビデオカメラで撮影されるシーン
Surfin’ Bird
作曲:Al Frazier, Carl White, Turner Wilson Jr. and John Harris
アーティスト:The Trashmen
リリース年:1963年
ザ・トラッシュ(The Trashmen)は、1962年にミネアポリスで結成されたアメリカのロックバンドです。
『サーフィン・バード』(Surfin’ Bird)は、60年代のドゥーワップバンド、ザ・リヴィングトンズ(The Rivingtons)の『Papa-Oom-Mow-Mow』と『The Bird’s the Word』を組み合わせて作られました。
瓦礫の中、銃を構え前進する兵士達が声を揃え歌う曲
Mickey Mouse Club March
アーティスト:Jimmie Dodd
『ミッキーマウス・クラブ・マーチ』は、ディズニーキャラクター、ミッキーマウスのテーマソングです。『ミッキーマウス・マーチ』『ミッキーマウス行進曲』のタイトルでも知られています。
1955年〜1960年にアメリカのABCで放送されていた人気テレビシリーズ「ミッキーマウス・クラブ」のオープニング主題歌で、番組の司会者ジミー・ドッドが作りました。
エンドクレジット
Paint It, Black
作曲:Mick Jagger and Keith Richards
アーティスト:The Rolling Stones
リリース年:1966年
『Paint It, Black』は、1966年にシングルとしてリリースされたローリング・ストーンズの曲です。スタジオアルバム『アフターマス』(Aftermath)に収録されてます。
『黒くぬれ!』の邦題でも知られています。
『フルメタル・ジャケット』のサントラ
『フルメタル・ジャケット』はアビゲール・ミード(Abigail Mead)ことヴィヴィアン・キューブリック(Vivian Kubrick)が音楽を担当しました。ヴィヴィアン・キューブリックは、スタンリー・キューブリックの娘です。キューブリック作品に度々カメオ出演しており、本作では、戦場をビデオカメラで映す女性記者役で登場しています。
アビゲール・ミード名義で製作されたサントラに含れているハートマン軍曹の掛け声をリミックスした『Full Metal Jacket (I Wanna Be Your Drill Instructor) 』は、シングルカットされ、当時全英ヒットチャートで2位を記録するヒット曲となりました。
『フルメタル・ジャケット』キャスト・スタッフ
監督 | スタンリー・キューブリック(Stanley Kubrick) |
脚本 | スタンリー・キューブリック(Stanley Kubrick) |
マイケル・ハー(Michael Herr) | |
グスタフ・ハスフォード(Gustav Hasford) | |
原作 | グスタフ・ハスフォード(Gustav Hasford) |
製作 | スタンリー・キューブリック(Stanley Kubrick) |
音楽 | アビゲール・ミード(Abigail Mead) |
配給 | ワーナー・ブラザース |
公開 | 1987年6月26日 |
1988年3月19日 | |
公開 | 116分 |
ジェイムズ・T・デイヴィス(ジョーカー):マシュー・モディーン(Matthew Modine)
レナード・ローレンス(ほほえみデブ):ヴィンセント・ドノフリオ(Vincent D’Onofrio)
ハートマン軍曹:R・リー・アーメイ(Lee Ermey)
エヴァンス(カウボーイ):アーリス・ハワード(Arliss Howard)
アニマルマザー:アダム・ボールドウィン(Adam Baldwin)
エイトボール:ドリアン・ヘアウッド(Dorian Harewood)
スノーボール:ピーター・エドモンド(Peter Edmund)
ラフターマン:ケビン・メージャー・ハワード(Kevyn Major Howard)
ウォルター・J・シノスキー(ミスター・タッチダウン):エド・オロス(Ed O’Ross)
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