2019年にアメリカで制作された『ジョジョ・ラビット』(原題:Jojo Rabbit)は、第二次世界大戦下、ヒトラーユーゲントの一員としてドイツに暮らす少年の成長を描いた作品です。アドルフ・ヒトラー役を務めたタイカ・ワイティティが監督・脚本も務めました。
第92回アカデミー賞では、作品賞・助演女優賞を含む6部門にノミネートされ、アカデミー脚色賞を受賞しました。
『ジョジョ・ラビット』の挿入曲
『ジョジョ・ラビット』の挿入曲を流れた順番に紹介していきます。(ネタバレにご注意ください)
ジョジョが「ハイル、ヒトラー!」と叫び、家を飛び出す
ジョジョは、「ヒトラー・ユーゲント」の合宿に向かいます。
ヒトラー・ユーゲントは、学校外の放課後における地域の党青少年教化組織です。10歳から18歳の青少年全員の加入が義務づけられていました。
邦題『抱きしめたい』
Artist cover ver. | ビートルズ(The Beatles) イギリス・リヴァプール出身の伝説のロックバンド。 1962年にレコードデビューし約7年半の活動期間中ヒット曲を発表し続け、世界中でビートルズ・ブームを巻き起こした。 |
リリース | 1964年 |
作曲者 | John Lennon and Paul McCartney ジョン・レノン(John Lennon, 1940-1980) ポール・マッカートニー(Paul McCartney) |
キャミロ・フェルゲン(Camillo Felgen, 1920-2005) ルクセンブルク出身のミュージシャン/作詞家/ディスクジョッキー/テレビ司会者。 ビートルズがドイツ語で録音した2曲を、ジャン・ニコラス(Jean Nicolas)のペンネームでドイツ語に訳したことでも知られる。 | |
Original ver. | (タイトル『I Want To Hold Your Hand』) 1963年:ビートルズ |
『Komm, gib mir deine Hand』は、ビートルズの『 I Want To Hold Your Hand』にドイツ語の歌詞がつけられたものです。1964年に西ドイツとオーストラリアでリリースされました。
合宿で厳しい訓練を受ける
アスレチック、ガスマスクをつけてのトレーニング、そして指導員からユダヤ人の恐ろしさを植え付けられた子供達は “焚書” を行います。
邦題『大人になんかなるものか』
Artist | トム・ウェイツ(Tom Waits) アメリカのミュージシャン/作曲家/ソングライター/俳優、1949年カリフォルニア州ポモナ生まれ。 |
リリース | 1992年 |
作曲者 | トム・ウェイツ |
キャスリーン・ブレナン(Kathleen Brennan) アメリカのミュージシャン/ソングライター/音楽プロデューサー/アーティスト、1955年アイルランド・コーク生まれ。トム・ウェイツの妻。 | |
ジョジョが屋内プールでリハビリをする
春の声 作品410
作曲者 | ヨハン・シュトラウス2世(Johann Strauss II. 1825-1899) 19世紀にウィーンを中心に活躍したオーストリアの作曲家/指揮者。 初代「ワルツ王」ヨハン・シュトラウス1世の息子。 ワルツ、ポルカをはじめとする舞踊音楽の名曲を数多く残し、ワルツの人気と発展に多大な貢献を果たした。父親の死後、「ワルツ王」の名を継承しヨーロッパ中で絶大な支持を獲得した。 |
作曲年 | 1882年 |
Artist | ウィーン少年合唱団(The Vienna Boys’ Choir) ウィーン・サロンオーケストラ(Salonorchester Alt Wien) ゲラルト・ヴィルト(Gerald Wirth) |
『春の声』は、ヨハン・シュトラウス2世が1882年に作曲したウィンナ・ワルツです。
ヒトラー・ユーゲントの子供達が水中訓練で溺れそうになる
歌劇《ファウスト》- 第2幕 ワルツ
作曲者 | シャルル・グノー(Charles Gounod, 1818-1893) フランスの作曲家。優雅で美しい旋律と色彩感に満ちたハーモニーが特徴。 「フランス近代歌曲の父」と呼ばれ今日も広く愛されている。 |
初演 | 1859年:パリ・リリック座 |
Artist | ロジェー・ワーグナー合唱団(The Roger Wagner Chorale) ハリウッド・ボウル交響楽団(The Hollywood Bowl Symphony Orchestra) |
歌劇『ファウスト』は、フランスの作曲家グノーがドイツの文豪ゲーテの戯曲『ファウスト』をもとにフランス語で作ったオペラです。1859年にパリで初演されました。
イタリアが降伏したことを喜び、ロージーが上機嫌でワインを飲む(レコードをかけて流す曲)
タブー
Artist cover ver. | レクオナ・キューバン・ボーイズ(Lecuona Cuban Boys) 1931年頃に設立されたキューバのオーケストラ。 |
リリース | 1935年 |
作曲者 | マルガリータ・レクオーナ(Margarita Lecuona, 1910-1981) キューバのメゾソプラノ歌手/ソングライター。 |
Original ver. | 1934年:クアルテート・マチン(Cuarteto Machín) |
ロージーが夫の軍服を羽織りジョジョとダンスを踊る(レコードをかけて流す曲)
ディプシー・ドゥードゥル
Artist cover ver. | Chick Webb & His Orchestra |
チック・ウェッブ(Chick Webb, 1905-1939) アメリカのジャズドラマー/バンドリーダー。 10代で無名のエラ・フィッツジェラルドを自分のバンドに雇い、彼女のキャリアを後押しした人物として知られる。チック・ウェッブが34歳という若さでこの世を去った後、エラがそのバンドを引き継いだ。 1920~30年代に活躍した伝説のドラマー。 | |
エラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald, 1917-1996) アメリカのジャズボーカリスト。 艶のある唯一無二の歌声、自由奔放なスキャット、即興演奏能力の高さを持ち味に、50年以上も “ジャズの女王” (The Queen of Jazz)として君臨し続けた。 | |
リリース | 1938年 |
作曲者 | ラリー・クリントン(Larry Clinton, 1909-1985) ブルックリン出身のアメリカのトランペット奏者/アレンジャー/バンドリーダー。 |
Original ver. | 1937年:トミー・ドーシー楽団(Tommy Dorsey & His Orchestra) |
ジョジョとロージーが自転車に乗って家に戻る
負傷したドイツ兵を乗せたトラックが2人の脇を通り過ぎて行きます。
ロージーは兵士に向かって言います「おかえりなさい。ママにキスして」と。
ママ
Artist | ロイ・オービソン(Roy Orbison, 1936-1988) アメリカのシンガーソングライター/ギタリスト。 ヴェルベット・ヴォイスと呼ばれた伸びやかなファルセットボイスで世界中から愛され、1960年代前半から中盤にかけて大きな成功を集めた。また、ロカビリーと呼ばれるスタイルを築きあげたパイオニアの一人としても知られる。 |
リリース | 1962年 |
作曲者 | ロイ・オービソン |
ジョー・メルソン(Joe Melson) アメリカのソングライター/歌手、1935年生まれ。 ロイ・オービソンとのコラボで知られる。 | |
レイ・ラッシュ(Ray Rush, -2020) アメリカのソングライター/音楽プロデューサー。 | |
ラルフ・マリア・シーゲル(Ralph Maria Siegel, 1911-1972) ドイツのシュラーガー作曲家/作詞家/テノール歌手。 |
一年後にリリースされた、ドイツ語バージョン(1963)が使われています。
ジョジョが1人で(エルサと)暮らすようになる
Artist cover ver. | ラヴ(Love) 1965年にロサンゼルスで結成されたアメリカのロックバンド。 |
リリース | 1974年 |
作曲者 | アーサー・リー(Arthur Lee, 1945-2006) アメリカのロックミュージシャン/ソングライター。ロックバンド「ラヴ」(Love)のリーダー。 |
Original ver. | 1972年:アーサー・リー |
エルサとジョジョが建物の外に出る(どこからか聞こえてくる曲)
Artist | グレン・ミラー楽団(Glenn Miller and His Orchestra) アメリカのジャズミュージシャン、グレン・ミラーによって1938年に結成されたスウィング・ジャズ・ビッグバンド。 |
リリース | 1942年:Soundtrack『オーケストラの妻たち』 |
作曲者 | ハリー・ウォーレン(Harry Warren, 1893-1981) ニューヨーク出身のイタリア系アメリカ人作曲家。60年にわたるキャリアの中で800曲以上の曲を書き、彼の歌は300本以上の映画で取り上げられている。『ブロードウェイの子守歌』『You’ll Never Know』『On the Atchison, Topeka and the Santa Fe』の作曲を手掛け、アカデミー歌曲賞を3度受賞した。 |
マック・ゴードン(Mack Gordon, 1904-1959) アメリカの作詞家。 映画『ハロー、フリスコ、ハロー』(1943) の『You’ll Never Know』を書いた事でアカデミー歌曲賞を受賞した。 |
『People Like You and Me』は、1942年のミュージカル映画『オーケストラの妻たち』(Orchestra Wives)のオリジナル・サウンドトラックです。
『オーケストラの妻たち』は、バンドマンの妻たちが巻き起こす騒動を描かれた作品です。グレン・ミラー楽団のリーダー、グレン・ミラーも出演していました。
当時絶大な人気を誇ったグレン・ミラーは、この後すぐにバンドを解散して米陸軍空軍に入隊。慰問楽団を率いて慰問演奏を続けていましたが、大戦末期の1944年12月、英仏海峡上空を飛行中に乗っていた専用機が消息を断ち行方不明となりました。 遺体は回収されず、その後、死亡が宣言されたそうです。
エンディング
ジョジョの合図でデヴィッド・ボウイの『Helden』が始まるまでこの曲が使用されていました。
ヒーローズ
Artist cover ver. | テン・テナーズ(The Ten Tenors) 1995年に結成されたオーストラリアの10人組アンサンブルグループ。 オペラのアリア、オーストラリアの伝統音楽、ブロードウェイのヒット曲などの他に、現代ロックの名曲を現代風にアレンジしたものなどもレパートリーとする。 |
リリース | 2017年 |
作曲者 | デヴィッド・ボウイ(David Bowie, 1947-2016) イギリスの歌手/ソングライター/ミュージシャン/俳優。 グラムロックの先駆者として数々の名曲を世に送り出し、俳優としても活躍した。 |
ブライアン・イーノ(Brian Eno) イギリスのミュージシャン/ソングライター/音楽プロデューサー/ビジュアルアーティスト、1948年生まれ。 ロックバンド「ロキシー・ミュージック」(Roxy Music) のシンセサイザー/キーボード奏者として活躍し、脱退後デヴィッド・ボウイ、トーキング・ヘッズ、U2などのアルバムのプロデューサーとしても名を馳せた。アンビエント・ミュージックの先駆者として知られている。 | |
Original ver. | 1977年:デヴィッド・ボウイ(David Bowie, 1947-2016) |
『Heroes』は、デヴィッド・ボウイの11枚目のアルバム『英雄夢語り』(原題:”Heroes”)に収録されている曲です。
ここでは、テン・テナーズのアルバム『Wish You Were Here』に収録されているカバーバージョンの冒頭部分が使われています。『Wish You Were Here』は、亡くなった偉大なアーティストへのオマージュアルバムです。デヴィッド・ボウイの他にジョン・レノンやプリンスなどの曲が収録されています。アルバムのタイトル名「Wish You Were Here」は、直訳すると「あなたがここにいたらいいのに」という意味です。
エンドクレジット
Heroes
ヒーローズ
Artist | デヴィッド・ボウイ(David Bowie, 1947-2016) イギリスの歌手/ソングライター/ミュージシャン/俳優。 グラムロックの先駆者として数々の名曲を世に送り出し、俳優としても活躍した。 |
リリース | 1977年 |
作曲者 | デヴィッド・ボウイ |
ブライアン・イーノ(Brian Eno) イギリスのミュージシャン/ソングライター/音楽プロデューサー/ビジュアルアーティスト、1948年生まれ。 ロックバンド「ロキシー・ミュージック」(Roxy Music) のシンセサイザー/キーボード奏者として活躍し、脱退後デヴィッド・ボウイ、トーキング・ヘッズ、U2などのアルバムのプロデューサーとしても名を馳せた。アンビエント・ミュージックの先駆者として知られている。 | |
アントニア・マース(Antonia Maass) ドイツのシンガーソングライター。デヴィッド・ボウイの『Heroes』の録音でバックコーラスをつとめ、ドイツ語の歌詞を書いたことで知られる。現在は医薬品研究に従事している。 | |
デヴィッド・ボウイ自身がドイツ語で録音した『Helden』が使われています。
『Heroes』は、ベルリンの壁を挟んでデートをする恋人たちの物語です。
1987年にボウイは壁の近くの西ベルリンでコンサートを開催し、スピーカーの一部を東側に向けてこの曲を歌いました。
『ジョジョ・ラビット』のサントラ
『ジョジョ・ラビット』はマイケル・ジアッチーノ(Michael Giacchino)が音楽を担当しました。
マイケル・ジアッチーノは、『LOST』や『Fringe』など、J・J・エイブラムスの人気TVドラマ作品の音楽を手がけたことで知られる作曲家です。『カールじいさんの空飛ぶ家』(2009)でアカデミー作曲賞を受賞しました。
『ジョジョ・ラビット』キャスト・スタッフ
監督 | タイカ・ワイティティ(Taika Waititi) |
脚本 | タイカ・ワイティティ(Taika Waititi) |
原作 | クリスティン・ルーネンズ(Christine Leunens) |
製作 | カーシュー・ニール(Carthew Neal) |
タイカ・ワイティティ(Taika Waititi) | |
チェルシー・ウィンスタンリー(Chelsea Winstanley) | |
音楽 | マイケル・ジアッチーノ(Michael Giacchino) |
配給 | フォックス・サーチライト・ピクチャーズ |
ウォルト・ディズニー・ジャパン | |
公開 | 2019年10月18日 |
2020年1月17日 | |
上映時間 | 108分 |
ヨハネス・”ジョジョ”・ベッツラー:ローマン・グリフィン・デイヴィス(Roman Griffin Davis)
エルサ・コール:トーマシン・マッケンジー(Thomasin McKenzie)
ロージー・ベッツラー:スカーレット・ヨハンソン(Scarlett Johansson)
アドルフ・ヒトラー:タイカ・ワイティティ(Taika Waititi)
クレンツェンドルフ大尉:サム・ロックウェル(Sam Rockwell)
フロイライン・ラーム:レベル・ウィルソン(Rebel Wilson)
フィンケル:アルフィー・アレン(Alfie Allen)
ディエルツ:スティーブン・マーチャント(Stephen Merchant)
ヨーキー:アーチー・イェーツ(Archie Yates)
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