2017年に制作された映画『スリー・ビルボード』(原題:Three Billboards Outside Ebbing, Missouri)は、アメリカ・ミズーリ州にある架空の街で起きた事件を巡るドラマ映画です。マーティン・マクドナーが監督・脚本をつとめました。
第74回ヴェネツィア国際映画祭では脚本賞を受賞、第90回アカデミー賞では作品賞を含む6部門で7ノミネートを果たし主演女優賞(フランシス・マクドーマンド)、助演男優賞(サム・ロックウェル)を受賞しました。
『スリー・ビルボード』の挿入曲
『スリー・ビルボード』の挿入曲を流れた順番に紹介していきます。(ネタバレにご注意ください)
オープニング
邦題『夏の名残のばら』
作曲者 | トマス・ムーア(Thomas Moore, 1779-1852) アイルランドの首都ダブリン出身の作家/詩人/作詞家。 |
出版年 | 1813年 |
Artist | ルネ・フレミング(Renée Fleming) アメリカのソプラノ歌手、1959年ペンシルベニア州インディアナ生まれ。 イギリス室内管弦楽団(English Chamber Orchestra) ロンドンを拠点とする室内オーケストラ。1948年創設。 ジェフリー・テイト(Jeffrey Tate, 1943-2017) イギリスの指揮者/鍵盤楽器奏者。イギリス室内管弦楽団の初代首席指揮者。 |
『Last Rose of Summer』は、アイルランの民謡にトマス・ムーアの詩をつけたものです。
日本では、歌詞の冒頭部分『庭の千草』のタイトルで古くから親しまれています。
この後「ディクソンが警察署でウィロビーからの最期の手紙を読む」でもこの曲が使われています。
ディクソンがパトカーを運転中に歌う曲(看板をみつける)
邦題『ラレドの通り』
『Streets of Laredo』は、アメリカの有名なカウボーイ・バラードです。
『Cowboy’s Lament』『The Dying Cowboy』のタイトルでも知られています。
タイトル「ラレド」とは、アメリカ=メキシコ国境に接しているテキサス州の都市の名前です。
ミルドレッドがロビーを学校に送っていく(ロビーが初めて看板を見る)
Artist | タウンズ・ヴァン・ザント(Townes van Zandt, 1944-1997) アメリカのシンガーソングライター。 |
リリース | 1987年 |
作曲者 | タウンズ・ヴァン・ザント(Townes van Zandt, 1944-1997) |
『Buckskin Stallion Blues』は、タウンズ・ヴァン・ザント(Townes van Zandt)のスタジオアルバム『At My Window』に収録されている曲です。
この後「ミルドレッドとディクソンが車でアイダホへ向かう」でもこの曲が使われています。
バーで流れる曲(ジェームズとビリヤードをするレッドに酔ったディクソンが絡む)
Artist | フェリス・ブラザース(The Felice Brothers) 2005年にニューヨークで結成されたフォークロック/カントリーロックバンド。 |
リリース | 2007年 |
作曲者 | イアン・フェリス(Ian Felice) ジョシュ・ローソン(Josh Rawson) ジェームズ・フェリス(James Felice) グレゴリー・ファーリー(Gregory Farley) サイモン・フェリス(Simone Felice) |
『Radio Song』は、フェリス・ブラザース(The Felice Brothers)のスタジオアルバム『Adventures Of The Felice Brothers Vol. I』に収録されている曲です。
ディクソンの家で母親が観る映画の曲(息子に入れ知恵をする)
リリース | Soundtrack『Don’t Look Now』 |
作曲者 | ピノ・ドナッジオ(Pino Donaggio) イタリアの作曲家/シンガーソングライター、1941年ヴェネツィア・ブラーノ生まれ。 代表映画:『赤い影』『キャリー』『殺しのドレス』 |
『John’s Theme (Children Play)』は、ドナルド・サザーランド主演の1973年イギリス・イタリア合作映画『赤い影』のオリジナルサウンドトラックです。映画の音楽を担当したイタリアの作曲家ピノ・ドナッジオが作りました。
映画『赤い影』は、ヒッチコックの『レベッカ』『鳥』の原作者として知られるイギリスの小説家ダフニ・デュ・モーリエの短編小説の映画化したもので、娘を水難事故で亡くした夫婦が主人公のスリラー映画です。
ディクソンがイヤホンで聴く曲(署長の死を知る直前)
チキチータ
Artist | アバ(ABBA) 1970年代後半に世界中のヒット・チャートを席巻したスウェーデン出身4人組ポップ・グループ。 |
リリース | 1979年 |
作曲者 | ベニー・アンダーソン(Benny Andersson) ビョルン・ウルヴァース(Björn Ulveaus) |
ディクソンがレッドを2階の窓から放り投げる
Artist | モンスターズ・オブ・フォーク(Monsters of Folk) 2004年に結成されたアメリカのフォーク音楽グループ。 |
リリース | 2009年 |
作曲者 | ジム・ジェームズ(Jim James) アメリカのボーカリスト/ギタリスト/プロデューサー。「マイ・モーニング・ジャケット」(My Morning Jacket)のメンバー。 |
『His Master’s Voice』は、モンスターズ・オブ・フォーク(Monsters of Folk)の唯一のスタジオアルバム『Monsters Of Folk』に収録されている曲です。
ディクソンが警察署でウィロビーからの最期の手紙を読む
邦題『夏の名残のばら』
作曲者 | トマス・ムーア(Thomas Moore, 1779-1852) アイルランドの首都ダブリン出身の作家/詩人/作詞家。 |
出版年 | 1813年 |
Artist | ルネ・フレミング(Renée Fleming) アメリカのソプラノ歌手、1959年ペンシルベニア州インディアナ生まれ。 イギリス室内管弦楽団(English Chamber Orchestra) ロンドンを拠点とする室内オーケストラ。1948年創設。 ジェフリー・テイト(Jeffrey Tate, 1943-2017) イギリスの指揮者/鍵盤楽器奏者。イギリス室内管弦楽団の初代首席指揮者。 |
「オープニング」でもこの曲が使われていました。
ディクソンがバーで一人で酒を飲む
邦題『いとしのルネ』
Artist Cover ver. | フォー・トップス(Four Tops) デトロイトの高校に通う4人組によって結成されたR&Bコーラスグループ。 |
リリース | 1967年 |
作曲者 | トニー・サンソン(Tony Sansone) ボブ・カリーリ(Bob Calilli) マイケル・ブラウン(Michael Brown) |
Original ver. | 1966年:レフト・バンク(The Left Banke) |
レストランBGM(ミルドレッドとジェームズが食事をする)
『ピアノソナタ第1番 ハ長調 K. 279』より第2楽章
作曲者 | ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart, 1756 -1791) 18世紀古典派を代表するオーストリアの作曲家。 |
作曲年 | 1775年 |
Artist | マリア・ジョアン・ピレシュ(Maria João Pires) ポルトガル出身の女性ピアニスト。 |
モーツァルトは、生涯に18曲のピアノソナタを残しました。
ここで使われているのはそのうちの第1番、モーツァルトが19歳の時に作った最初のピアノソナタです。
ディクソンがバーで居合わせた男達の会話を聞く
Artist Cover ver. | ジョーン・バエズ(Joan Baez) アメリカのシンガー/ソングライター/ミュージシャン/活動家。 |
リリース | 1971年 |
作曲者 | ロビー・ロバートソン(Robbie Robertson, 1943-2023) カナダのミュージシャン/ギタリスト/シンガーソングライター。ロックバンド「ザ・バンド」の元ギタリスト。 |
Original ver. | 1969年:ザ・バンド(The Band) |
『Night They Drove Old Dixie Down』は、ザ・バンド(The Band)の2枚目スタジオアルバム『Night They Drove Old Dixie Down』に収録されている曲です。
南部の鉄道で働く白人の若者の目線で、南北戦争でリッチモンドが陥落した日のことが歌われています。
ここでは、ジョーン・バエズ(Joan Baez)のカバーバージョンが使われています。
ミルドレッドとディクソンが車でアイダホへ向かう
Artist | タウンズ・ヴァン・ザント(Townes van Zandt, 1944-1997) アメリカのシンガーソングライター。 |
リリース | 1987年 |
作曲者 | タウンズ・ヴァン・ザント(Townes van Zandt, 1944-1997) |
『Buckskin Stallion Blues』は、タウンズ・ヴァン・ザント(Townes van Zandt)のスタジオアルバム『At My Window』に収録されている曲です。
ここでは、エイミー・アネル(Amy Annelle)によるカバーバージョンが使われています。
「ミルドレッドがロビーを学校に送っていく(ロビーが初めて看板を見る)」ではこの曲のオリジナルバージョンが使われていました。
『スリー・ビルボード』のサントラ
『スリー・ビルボード』はカーター・バーウェル(Carter Burwell)が音楽を担当しました。カーター・バーウェルは、アメリカ・ニューヨーク生まれの作曲家です。コーエン兄弟監督作品、マーティン・マクドナー監督の長編作品は全てカーター・バーウェルが音楽を担当しています。また、今作ではアカデミー作曲賞にノミネートされました。
『スリー・ビルボード』キャスト・スタッフ
監督 | マーティン・マクドナー(Martin McDonagh) |
脚本 | マーティン・マクドナー(Martin McDonagh) |
製作 | グレアム・ブロードベント(Graham Broadbent) |
ピーター・チャーニン(Peter Czernin) | |
マーティン・マクドナー(Martin McDonagh) | |
音楽 | カーター・バーウェル(Carter Burwell) |
配給 | 20世紀フォックス映画 |
公開 | 2017年11月10日 |
2018年2月1日 | |
上映時間 | 115分 |
ミルドレッド・ヘイズ:フランシス・マクドーマンド(Frances McDormand)
ビル・ウィロビー署長:ウディ・ハレルソン(Woody Harrelson)
ジェイソン・ディクソン巡査:サム・ロックウェル(Sam Rockwell)
アン・ウィロビー:アビー・コーニッシュ(Abbie Cornish)
チャーリー:ジョン・ホークス(John Hawkes)
ジェームズ:ピーター・ディンクレイジ(Peter Dinklage)
レッド・ウェルビー:ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(Caleb Landry Jones)
パメラ:ケリー・コンドン(Kerry Condon)
ジェローム:ダレル・ブリット=ギブソン(Darrell Britt-Gibson)
ロビー・ヘイズ:ルーカス・ヘッジズ(Lucas Hedges)
セドリック巡査部長:ジェリコ・イヴァネク(Željko Ivanek)
デニース:アマンダ・ウォーレン(Amanda Warren)
アンジェラ・ヘイズ:キャスリン・ニュートン(Kathryn Newton)
ペネロープ:サマラ・ウィーヴィング(英語版)
アバークロンビー:クラーク・ピータース(Clarke Peters)
ディクソンの母:サンディ・マーティン(Sandy Martin)
ガブリエラ:マラヤ・リヴェラ・ドリュー(Malaya Rivera Drew)

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