2022年に制作された『ナイル殺人事件』(原題:Death on the Nile)は、アガサ・クリスティの人気推理小説『ナイルに死す』の映画化作品です。前作『オリエント急行殺人事件』に引き続き、ケネス・プラナーが主演・監督を務めました。今回はエジプト・ナイル川の船上が舞台となります。
原作『ナイルに死す』は、探偵エルキュール・ポアロシリーズ15作目にあたり、今回で2度目の映画化になります。
『ナイル殺人事件』の挿入曲
『ナイル殺人事件』の挿入曲を流れた順番に紹介していきます。(ネタバレにご注意ください)
ナイトクラブでサロメが歌う(1曲目)
マネージャーのロザリーの合図でサロメはギターを弾きながら登場。ジャクリーンとサイモンがダンスをします。
1937年、@ロンドン
Artist cover ver. | シスター・ロゼッタ・サープ(Sister Rosetta Tharpe, 1915-1973) アメリカの歌手/ソングライター/ギタリスト。 ビッグバンドをバックにナイトクラブやコンサートホールの “暗闇” の中で自らの “光” の音楽を演奏する演出でスピリチュアルな音楽を主流に押し上げ、ポップゴスペルの隆盛の先駆者となった。 また、女性のギタリストが稀な時代に天才プレイヤーとして称賛を集め、多くのロックンロール歌手に影響を与えた。 |
リリース | 1939年 |
作曲者 | シスター・ロゼッタ・サープ |
ワシントン・フィリップス(Washington Phillips, 1880-1954) アメリカのゴスペルブルースの歌手/楽器奏者。 | |
Original ver. | (タイトル名『Denomination Blues』) 1928年:ワシントン・フィリップス |
シスター・ロゼッタ・サープは、1930年代から1940年代にかけて、ゴスペルと、ジャズやブルースなどの大衆音楽をかけ合わせた演奏で人気を博した歌手です。
当時、キリスト教プロテスタント系の宗教音楽であるゴスペル音楽をブルースやジャズのミュージシャンやダンサーと並んで演奏することは異例のことでした。そのため、保守的な宗教界ではそのような環境でギターを弾く女性は眉をひそめられ、批判の的となっていたそうです。
ナイトクラブでサロメが歌う(2曲目)
リネットがナイトクラブに登場するシーン。リネットはバー・カウンターでジャクリーンと話をします。
Artist | シスター・ロゼッタ・サープ(Sister Rosetta Tharpe, 1915-1973) アメリカの歌手/ソングライター/ギタリスト。 ビッグバンドをバックにナイトクラブやコンサートホールの “暗闇” の中で自らの “光” の音楽を演奏する演出でスピリチュアルな音楽を主流に押し上げ、ポップゴスペルの隆盛の先駆者となった。 また、女性のギタリストが稀な時代に天才プレイヤーとして称賛を集め、多くのロックンロール歌手に影響を与えた。 |
『Up Above My Head, I Hear Music in the Air』は、伝統的なゴスペル曲です。
1947年、シスター・ロゼッタ・サープはマリー・ナイトとのデュオでこの曲を発表しました。コールアンドレスポンス形式(掛け合い)で構成されており、サープが短いセリフを歌い、続いてナイトが同じセリフを「レスポンス」する形でレコーディングされています。
ここでは、シスター・ロゼッタ・サープが1956年にリリースしたソロバージョンの演奏が使われています。
この後「船上ダンスパーティでサモアが歌う」でもこの曲が使われています。
ナイトクラブでサロメが歌う(3曲目)
リネットとサイモンがダンスをする曲。
Artist cover ver. | シスター・ロゼッタ・サープ(Sister Rosetta Tharpe, 1915-1973) アメリカの歌手/ソングライター/ギタリスト。 ビッグバンドをバックにナイトクラブやコンサートホールの “暗闇” の中で自らの “光” の音楽を演奏する演出でスピリチュアルな音楽を主流に押し上げ、ポップゴスペルの隆盛の先駆者となった。 また、女性のギタリストが稀な時代に天才プレイヤーとして称賛を集め、多くのロックンロール歌手に影響を与えた。 |
リリース | 1939年 |
作曲者 | トーマス・A・ドーシー(Thomas A. Dorsey, 1899-1993) アメリカの音楽家/作曲家/キリスト教の伝道者。 |
Original ver. | (タイトル名『Hide Me in Thy Bosom』) 1937年:チャールズ・ベック(Charles Beck, 1900-1972) アメリカのゴスペルミュージシャン/歌手/伝道者。 |
『Rock Me』『That’s All』(ナイトクラブでサロメが歌う1曲目)は、デッカ・レコードが録音した最初のゴスペル・ソングでした。これらはたちまちヒットを記録し、センセーションを巻き起こしたそうです。
ポアロとリネット一行がボートでカルナック号に向かい、乗り込む
@ナイル川、カルナック号
Artist | Lucky Millinder & His Orchestra, Sister Rosetta Tharpe |
シスター・ロゼッタ・サープ(Sister Rosetta Tharpe, 1915-1973) アメリカの歌手/ソングライター/ギタリスト。 ビッグバンドをバックにナイトクラブやコンサートホールの “暗闇” の中で自らの “光” の音楽を演奏する演出でスピリチュアルな音楽を主流に押し上げ、ポップゴスペルの隆盛の先駆者となった。 また、女性のギタリストが稀な時代に天才プレイヤーとして称賛を集め、多くのロックンロール歌手に影響を与えた。 | |
リリース | 1942年 |
作曲者 | ラッキー・ミリンダー(Lucky Millinder, 1910-1966) アメリカのスウィング/R&Bのバンドリーダー。 |
ビル・ドゲット(Bill Doggett, 1916-1996) アメリカのピアニスト/オルガニスト。 |
4歳からギターを持ちゴスペルを歌っていたサープは、女性のギタリストが稀な時代に天才プレイヤーとして称賛を集め、多くのロックンロール歌手に影響を与えました。
「ロッキング・アンド・ローリング」(rocking and rolling)という言葉は、もともと海上での船の動きを表していたという説があります。
船上ダンスパーティでサモアが歌う
Artist | シスター・ロゼッタ・サープ(Sister Rosetta Tharpe, 1915-1973) アメリカの歌手/ソングライター/ギタリスト。 ビッグバンドをバックにナイトクラブやコンサートホールの “暗闇” の中で自らの “光” の音楽を演奏する演出でスピリチュアルな音楽を主流に押し上げ、ポップゴスペルの隆盛の先駆者となった。 また、女性のギタリストが稀な時代に天才プレイヤーとして称賛を集め、多くのロックンロール歌手に影響を与えた。 |
「ナイトクラブでサロメが歌う(2曲目)」でもこの曲が使われていました。
ジャッキー乗船後の夕食シーン
ジャッキーは、テーブルに置かれたナイフをクルクルと回し、ワインを飲んでいます。
@ナイル川、カルナック号
Artist cover ver. | シスター・ロゼッタ・サープ(Sister Rosetta Tharpe, 1915-1973) アメリカの歌手/ソングライター/ギタリスト。 ビッグバンドをバックにナイトクラブやコンサートホールの “暗闇” の中で自らの “光” の音楽を演奏する演出でスピリチュアルな音楽を主流に押し上げ、ポップゴスペルの隆盛の先駆者となった。 また、女性のギタリストが稀な時代に天才プレイヤーとして称賛を集め、多くのロックンロール歌手に影響を与えた。 |
リリース | 1942年 |
作曲者 | ブラインド・ウィリー・ジョンソン(Blind Willie Johnson, 1897-1945) アメリカのゴスペルブルース歌手/ギタリスト/伝道師。 |
Original ver. | 1928年:ブラインド・ウィリー・ジョンソン |
ナイトクラブでのリハーサルでサロメが歌う
ポアロは再びナイトクラブを訪れ、サロメのリハーサルの様子を見つめています。
事件から半年後、@ロンドン
Artist cover ver. | ザ・ステイプル・シンガーズ(The Staple Singers) アメリカのゴスペル/ソウル/R&B・ボーカルグループ。 ギタリストで歌手のローバック・ステイプルズ(Roebuck Staples)が子供達と結成したグループ。 |
リリース | 1962年 |
作曲者 | チャールズ・アルバート・ティンドリー(Charles Albert Tindley, 1851-1933) アメリカの牧師/ゴスペルソングライター。 |
Original ver. | 1924年:Madame Magdalene Tartt Lawrence |
『ナイル殺人事件』のサントラ
『ナイル殺人事件』は、前作『オリエント急行殺人事件』に引き続きパトリック・ドイル(Patrick Doyle)が音楽を担当しました。パトリック・ドイルは、スコットランド出身の作曲家です。ケネス・プラナーのほとんどの作品で音楽を担当しています。

『ナイル殺人事件』キャスト・スタッフ
監督 | ケネス・ブラナー(Kenneth Branagh) |
脚本 | マイケル・グリーン(Michael Green) |
原作 | アガサ・クリスティ(Agatha Christie) |
製作 | リドリー・スコット(Ridley Scott) |
ケネス・ブラナー(Kenneth Branagh) | |
サイモン・キンバーグ(Michael Green) | |
ジュディ・ホフランド(Judy Hofflund) | |
ケヴィン・J・ウォルシュ(Kevin J. Walsh) | |
マーク・ゴードン(Mark Gordon) | |
音楽 | パトリック・ドイル(Patrick Doyle) |
配給 | 20世紀スタジオ |
ウォルト・ディズニー・ジャパン | |
公開 | 2022年2月11日 |
2022年2月25日 | |
上映時間 | 127分 |
エルキュール・ポアロ:ケネス・ブラナー(Kenneth Branagh)
リネット・リッジウェイ・ドイル:ガル・ガドット(Gal Gadot)
サイモン・ドイル:アーミー・ハマー(Armie Hammer)
ジャクリーン・ド・ベルフォール:エマ・マッキー(Emma Mackey)
ブーク:トム・ベイトマン(Tom Bateman)
ユーフェミア:アネット・ベニング(Annette Bening)
サロメ・オッタボーン:ソフィー・オコネドー(Sophie Okonedo)
ロザリー・オッタボーン:レティーシャ・ライト(Letitia Wright)
ウィンドルシャム:ラッセル・ブランド(Russell Brand)
アンドリュー・カチャドリアン:アリ・ファザル(Ali Fazal)
リー・ヴァン・スカイラー:ジェニファー・ソーンダース(Jennifer Saunders)
ミセス・バワーズ:ドーン・フレンチ(Dawn French)
ルイーズ・ブールジェ:ローズ・レスリー(Rose Leslie)
関連映画
コメント