『バビロン』の挿入曲とサントラ | 解説付き全曲紹介Filmmusik
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ブラッド・ピット(Brad Pitt)マーゴット・ロビー(Margot Robbie)

『バビロン』の挿入曲とサントラ

2022年にアメリカで製作された映画『バビロン』(原題:Babylon)は、サイレント映画からトーキー映画に移り変わる「ハリウッド黄金期」の映画業界を鮮やかに描いたブラック・コメディ/歴史映画です。

『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼルが監督・脚本を務め、ブラッド・ピットやマーゴット・ロビー、ディエゴ・カルバらを中心としたアンサンブルキャストが出演しています。

『バビロン』の挿入曲

『バビロン』の挿入曲を流れた順番に紹介していきます。(ネタバレにご注意ください)

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男装したレディ・フェイ・ジューがパーティで歌う曲

My Girl’s Pussy
作曲:Harry Roy、Justin Hurwitz
オリジナル版:Harry Roy & His Bat Club Boys(1931)
アーティスト:Li Jun Li

『My Girl’s Pussy』は、イギリスのクラリネット奏者/バンドリーダーのハリー・ロイ(Harry Roy)が1931年に作ったジャズソングです。

ここでは、映画『バビロン』の音楽を担当したアメリカの作曲家ジャスティン・ハーウィッツが歌詞を一部変えアレンジしたカバーバージョンが使われています。
歌っているのは、レディ・フェイ・ジューを演じた女優リー・ジュン・リーです。

ジャックが自宅の蓄音器で流し歌う曲

Torna a Sorriento (Come Back to Sorrento)
作曲:Ernesto De Curtis & Giambattista De Curtis
アーティスト:Nino Martini with Alfredo Antonini Orchestra

『Torna a Sorriento』は、カンツォーネ(ナポリ民謡)の代表曲です。日本では『帰れソレントへ』の邦題で知られています。
去っていった恋人に戻ってきてほしいと願う男性の恋心とソレントの街の美しさが共に表現されている曲です。

イタリアの作曲家エルネスト・デ・クルティスと詩人ジャンバッティスタ・デ・クルティスの兄弟が、ソレント市長グリエルモ トラモンターノに依頼され作った曲です。
市長は、ソレントで休暇を過ごしていたイタリアの首相ジュゼッペ・ザナルデッリの来訪を祝し作曲を依頼したと言われています。

ここでは、イタリアのオペラテノール歌手/俳優ニーノ・マルティーニの演奏が使われています。


マニーに介抱され自宅に戻ったジャックがマニーに「音楽聴くだろ?」と言い曲を流すシーン

付き人にならないかとジャックがマニーを誘うシーン

O Sole Mio
作曲:Giancarlo Chiaramello, Eduardo Di Capua & Giovanni Capurro
演奏:Enrico Caruso

『O Sole Mio』も、広く知られているカンツォーネ(ナポリ民謡)の代表曲です。
ナポリ語で書かれた歌詞は世界中で翻訳され様々な言語で歌われています。
「オー・ソレ・ミオ」は「私の太陽」を意味します。

ここでは、イタリア出身のテノール歌手エンリコ・カルーソーの演奏が使われています。


バルコニーからプールに落下したジャックがベッドに入り、マニーがホッとするシーンから曲が流れます。

戦闘シーン撮影、砂漠でオーケストラが演奏する曲

Night on Bald Mountain
作曲:Modest Petrovich Mussorgsky

モデスト・ペトローヴィチ・ムソルグスキー作曲の交響詩『禿山の一夜』。
この曲は、19世紀のロシアの作曲家ムソルグスキーが作った管弦楽曲です。


「聖ヨハネ祭前夜、禿山に地霊チェルノボーグが現れ手下の魔物や幽霊、精霊達と大騒ぎするが、夜明けとともに消え去っていく」
といった内容のロシア民話を元に作られた作品です。

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ロバートが蛇と戦った事を話し出すパーティーのシーン

I Want a Man
作曲:Justin Hurwitz & Damien Chazelle
アーティスト:Prince Bernard
リリース年:2023年 ( SOUNDTRACK『Babylon 』)

『I Want a Man』は、映画『バビロン』のオリジナルサウンドトラックです。デミアン・チャゼル監督と音楽担当のアメリカの作曲家ジャスティン・ハーウィッツによる作品です。


シドニーがスクリャービンの話をし、ジャックはトイレに頭を突っ込んだままのジョージを介抱するシーン。

マニーが観る映画『ジャズ・シンガー』の曲 1曲目

Dirty Hands, Dirty Face
作曲:Grant Clarke, Al Jolson, Edgar Leslie & James V. Monaco
アーティスト:Al Jolson

『Dirty Hands, Dirty Face』は、1920年初演のブロードウェイミュージカル『Bombo』で、主演をつとめたアル・ジョルソンによって披露された曲です。

1927年のアメリカ映画『ジャズ・シンガー』では、アル・ジョルソン演じるジャズシンガーがこの曲をステージで演奏しています。

アル・ジョルソンは、「ブラックフェイス・パフォーマーの王様」と称されるリトアニア生まれのアメリカ人歌手/俳優です。顔を黒塗りしてアフリカ系アメリカ人を演じ歌う事で、ジャズやブルースなどの伝統的音楽をアメリカに広めることで成功を収めました。


マニーが映画館に入ってくるシーン

マニーが観る映画『ジャズ・シンガー』の曲 2曲目

Toot Toot Tootsie (Goo’bye)
作曲:Gus Kahn, Ernie Erdman, Danny Russo & Ted Fio Rito
アーティスト:Al Jolson
リリース年:1922年

『Toot Toot Tootsie』も、1920年初演のブロードウェイミュージカル『Bombo』で、アル・ジョルソンによって披露された曲です。映画『ジャズ・シンガー』で使われています。

映画『ジャズ・シンガー』は、世界初のトーキー映画と言われています。


観客が立ち上がり熱狂的に拍手をする様子を見たマニーが、ジャックに急いで電話をかけに行くシーン。

雨を降らせたセットにジャックが加わり大勢で歌う曲

Singin’ in the Rain
作曲:Nacio Herb Brown & Arthur Freed
オリジナル版:The Rounders(1929)

『Singing in the Rain』は、アメリカの作曲家ナシオ・ハーブ・ブラウンと映画プロデューサー/作詞家アーサー・フリードが作った曲です。『雨に唄えば』の邦題でも知られています。

1929年の米・ミュージカル映画『ハリウッド・レヴィユー』で使われ、同年リリースされました。
『ハリウッド・レヴィユー』は、MGMのオールスター顔見世映画として製作された為、所属スターほぼ全員が出演しています。

「レオ・ザ・ライオン」のオープニングロゴで知られるメトロ・ゴールドウィン・メイヤー・スタジオ(MGM)は、アメリカの実業家マーカス・ロウが3つの映画会社の経営権を取得し、1924年に設立されました。

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シドニーがスタジオを去る時に流れている曲

Daddy, Won’t You Please Come Home
作曲:Sam Coslow
アーティスト:Annette Hanshaw
リリース年:1929年

『Daddy, Won’t You Please Come Home』は、1929年のアメリカ映画『サンダーボルト』(Thunderbolt)の為に作られた曲です。
当時人気のラジオスター、アネット・ハンショー(Annette Hanshaw)が歌い、同年リリースされました。


黒塗りメイクをさせられたシドニーが、収録後にスタジオを出ていくシーン

ジャックが自宅で酒を飲みながら聴いている曲

Cavalleria rusticana – “O lola ch’ai di latti la cammisa” (Siciliana)
作曲:Pietro Mascagni
演奏:Enrico Caruso

ピエトロ・マスカーニ作曲の『カヴァレリア・ルスティカーナ』よりシチリアーナ「ローラよお前は花のように美しい」。イタリア出身のテノール歌手エンリコ・カルーソーの演奏が使われています。
映画の冒頭「付き人にならないか」とジャックがマニーを誘うシーンでもジャックの家ではエンリコ・カルーソーのレコードが流れていました。

カルーソーは、20世紀前半に200回以上のレコーディングを行い円盤型蓄音機の普及を助け、音楽業界が生んだ最初のスター歌手となりました。


ジャックのもとに、代役での仕事を依頼する電話がかかってくるシーン

ギャングのボス、マッケイの屋敷で流れている曲

Die Zauberflöte, K.620 / Act 2 – Der Hölle Rache kocht in meinem Herzen
作曲:Wolfgang Amadeus Mozart

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲の《魔笛》第2幕より、夜の女王のアリア「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」。


ネリーの借金を返す為にマニーがジェームズ・マッケイの屋敷を訪れるシーン

ジェームズ・マッケイの要塞で流れている曲 1曲目

My Girl’s Pussy
作曲:Harry Roy、Justin Hurwitz
アーティスト:Harry Roy & His Bat Club Boys(1931)
リリース年:1931年

『My Girl’s Pussy』は、イギリスのクラリネット奏者/バンドリーダーのハリー・ロイ(Harry Roy)が1931年に作ったジャズソングです。

映画の冒頭のパーティで「男装したレディ・フェイ・ジューがパーティで歌う曲」では、ジャスティン・ハーウィッツがアレンジしたカバーバージョンが使われていましたが、ここではオリジナルバージョンが使われています。

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ジェームズ・マッケイの要塞で流れている曲 2曲目

Aba Daba Honeymoon
作曲:Arthur Fields & Walter Donovan
オリジナル版:Collins & Harlan(1914)
アーティスト:Helen Kane(1951)

『Aba Daba Honeymoon』は、アメリカのバリトン歌手/作曲家アーサー・フィールズと作曲家ウォルター・ドノバンが作った曲です。
20世紀初頭の人気コミックデュオ、コリンズ & ハーランによってレコーディングされ、1914年にリリースされました。

ここでは、20年代に活躍したアメリカ女性歌手/女優ヘレン・ケイン(Helen Kane)のカバーバージョンが使われています。
ヘレン・ケインは、1930年の米・アニメーション『Dizzy Dishes』で主人公ビンボーの憧れの人として登場し以降人気キャラクターとなった「ベティちゃん(ベティ・ブープ)」のモデルとされる人物です。

マニーがLAで観る映画『雨に唄えば』の曲 1曲目

All I Do Is Dream of You
作曲:Arthur Freed & Nacio Herb Brown
オリジナル版:Gene Raymond(1934)
アーティスト:Debbie Reynolds and the MGM Studio Chorus

『All I Do Is Dream of You』は、1934年のアメリカ映画『Sadie McKee』で、米・俳優/歌手ジーン・レイモンドによって披露された曲です。
『あなたの夢ばかり』の邦題で知られているスタンダードナンバーです。

1929年のミュージカル映画『雨に唄えば』では、キャシーを演じるデビー・レイノルズが
ケーキから飛び出して女性ダンサー達と一緒に歌う曲として使われています。

マニーがLAで観る映画『雨に唄えば』の曲 2曲目

Beautiful Girl Montage
作曲:Arthur Freed & Nacio Herb Brown
アーティスト:Jimmy Thompson and The Girl Friends with the MGM Studio Orchestra and Chorus

『Beautiful Girl Montage』は、1929年のミュージカル映画『雨に唄えば』のオリジナルサウンドトラックです。

映画『雨に唄えば』では、トーキーがハリウッドに革命をもたらしたことを知らせる新聞の映像から音楽映画『ビューティフル・ガール』の撮影シーンに移る場面でこの曲が流れています。

『バビロン』で、マニーが観ている『雨に唄えば』の映像では、音楽が始まるシーンの映像はオリジナルに忠実ですが、その後の映像は順番が前後する編集がなされています。

マニーがLAで観る映画『雨に唄えば』の曲 3曲目

Singing in the Rain
作曲:Nacio Herb Brown & Arthur Freed
リリース年:1929年(The Rounders)

1929年のミュージカルコメディ映画『ハリウッド・レヴィユー』で使われ、同年リリースされた『Singing in the Rain』(邦題:『雨に唄えば』)です。

1952年の米・ミュージカル映画『雨に唄えば』では主題歌として使われました。
ジーン・ケリーが土砂降りの雨の中この曲を歌いタップダンスを踊るシーンは、映画史に残る名場面となりました。

『バビロン』のサントラ

『バビロン』はジャスティン・ハーウィッツ(Justin Hurwitz)が音楽を担当しました。ジャスティン・ハーウィッツは、デイミアン・チャゼル監督の長編デビュー作から音楽を担当している作曲家です。『ラ・ラ・ランド』では第89回アカデミー作曲賞と主題歌賞を受賞しました。

デイミアン・チャゼル監督とは今作で5回目のコラボレーションとなります。ジャスティン・ハーウィッツは第95回アカデミー作曲賞ノミネート、第80回ゴールデングローブ作曲賞を受賞しました。

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『バビロン』キャスト・スタッフ

監督デイミアン・チャゼル(Damien Chazelle)
脚本デイミアン・チャゼル(Damien Chazelle)
製作オリヴィア・ハミルトン(Olivia Hamilton)
マーク・プラット(Marc Platt)
マット・プルーフ(Matthew Plouffe)
音楽ジャスティン・ハーウィッツ(Justin Hurwitz)
配給 東和ピクチャーズ
公開 2022年12月25日
2023年2月10日
上映時間185分

ジャック・コンラッド:ブラッド・ピット(Brad Pitt)
ネリー・ラロイ:マーゴット・ロビー(Margot Robbie)
マニー・トレス:ディエゴ・カルバ(Diego Calva)
エリノア・セント・ジョン:ジーン・スマート(Jean Smart)
シドニー・パーマー:ジョヴァン・アデポ(Jovan Adepo)
レディ・フェイ・ジュー:リー・ジュン・リー(Li Jun Li)
ジェームズ・マッケイ:トビー・マグワイア(Tobey Maguire)
マックス:P・J・バーン(P. J. Byrne)
ジョージ・マン:ルーカス・ハース(Lukas Haas)
ルース・アドラー:オリヴィア・ハミルトン(Olivia Hamilton)
アーヴィング・タルバーグ:マックス・ミンゲラ(Max Minghella)
伯爵 (The Count):ローリー・スコーヴェル(Rory Scovel)
エステル:キャサリン・ウォーターストン(Katherine Waterston)
ボブ・レヴィン:フリー(Flea)
ドン・ウォラック:ジェフ・ガーリン(Jeff Garlin)
ロバート・ロイ:エリック・ロバーツ(Eric Roberts)
ウィルソン:イーサン・サプリー(Ethan Suplee)
コンスタンス・ムーア:サマラ・ウィーヴィング(Samara Weaving)
イナ・コンラッド:オリヴィア・ワイルド(Olivia Wilde)
オットー・フォン・シュトラスベルガー:スパイク・ジョーンズ(Spike Jonze)
マリオン・デイヴィス:クロエ・ファインマン(Chloe Fineman)
ジェーン・ソーントン:フィービー・トンキン(Phoebe Tonkin)
オーヴィル・ピックウィック:トロイ・メトカーフ(Troy Metcalf)
エルウッド:パトリック・フュジット(Patrick Fugit)
プロデューサー:マーク・プラット(Marc Platt)

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