1939年にアメリカで制作された映画『オズの魔法使』(原題:The Wizard of Oz)は、同名の児童文学をもとにジュディ・ガーランド主演でミュージカル化した作品です。
第12回アカデミー賞では、作品賞を含む6部門にノミネートされ、作曲賞と歌曲賞の2部門を受賞、またジュディ・ガーランドがアカデミー・ジュブナイル賞を受賞しました。
- 『オズの魔法使』の挿入曲
- オープニング(ドロシーがトトと一緒に家に向かい走る)
- 問題が起きない所ってどこだろう?とドロシーが考え歌い出す
- ドロシーがオズの国で北の良い魔女とマンチキン達に出会う
- ドロシーがマンチキン達に見送られエメラルド・シティに出発する
- カカシがドロシーに「脳みそがあったら何をするの?」と聞かれて歌う
- カカシがドロシーと一緒に魔法使いに会いにいくこととなり二人で旅に出発する(ドロシーとカカシが歌う)
- ドロシーがリンゴをもぎ取りリンゴの木を怒らせる(カカシが木を挑発して実を手に入れる)
- ブリキ男がドロシーに胸を叩かせ「職人が心を入れ忘れ空洞なんだ」と話し歌い踊る
- ブリキ男が旅の仲間に加わり、ドロシー・カカシ・ブリキ男の3人の旅が始まる
- 臆病なライオンが「勇気されあればライオンらしくなれるのに」とドロシー達に気持ちを打ち明ける
- ライオンが旅の仲間に加わり、4人の旅が始まる
- ケシ畑で眠ってしまったドロシーが良い魔女のおかげで目を覚まし、四人がエメラルドの都に向けて軽やかに歩き出す
- 宮殿に入った四人が馬車に乗り “ピカピカ&ゴシゴシ社”で 身なりを整える
- 魔法使いとの面会を前にして、臆病なライオンが “俺は森の王になれる ” 言い突然歌い出す
- ドロシーと共に西の魔女の城に連れ去られたトトが城から抜け出す
- カカシ達がトトに案内されてドロシーが閉じ込められている部屋を見つける
- カカシがオズから “思考学の博士号” の証書を渡される
- 「やっぱり家が一番」の呪文を唱えるドロシーが自宅のベッドで目を覚ます
- エンドクレジット
- 『オズの魔法使』のサントラ
- 『オズの魔法使』キャスト・スタッフ
『オズの魔法使』の挿入曲
『オズの魔法使』の挿入曲を流れた順番に紹介していきます。(ネタバレにご注意ください)
オープニング(ドロシーがトトと一緒に家に向かい走る)
子供のためのアルバム 第1部「小さい子供のために」 Op.68 – 第10曲「楽しき農夫」
作曲者 | ロベルト・シューマン(Robert Schumann, 1810-1856) ドイツの作曲家/ピアニスト/音楽評論家。 交響曲から合唱曲まで幅広い分野で作品を残し、特にピアノ曲と歌曲で高評価を得る19世紀のドイツロマン派を代表する作曲家。 |
作曲年 | 1848年 |
問題が起きない所ってどこだろう?とドロシーが考え歌い出す
邦題『虹の彼方に』
Artist | ジュディ・ガーランド(Judy Garland, 1922-1969) ドロシーを演じたアメリカの女優/歌手。 ミュージカル映画『オズの魔法使』(1939) で主役ドロシーに抜擢されその才能を世に知らしめ、以降『若草の頃』(1944)、『イースター・パレード』(1948) 、『スタア誕生』(1954) などで主役をつとめるなど国民的ミュージカル・スターとして活躍した。ハリウッド黄金時代を代表する大スターの一人。 |
リリース | 1939年:Soundtrack『オズの魔法使』 |
作曲者 | ハロルド・アーレン(Harold Arlen, 1905-1986) ニューヨーク出身のユダヤ系アメリカ人作曲家。 映画『オズの魔法使』(1939) でジュディ・ガーランドが歌う劇中歌『虹の彼方に』を作曲しアカデミー歌曲賞を受賞した。 |
エドガー・イップ・ハーバーグ(E.Y. Harburg) アメリカのポピュラーソングの作詞家/台本作家。 映画『オズの魔法使』の劇中歌『虹の彼方に』を作詞したことでアカデミー歌曲賞を受賞した。 代表曲『虹の彼方に』『It’s Only a Paper Moon』 |
『Over the Rainbow』は、映画『オズの魔法使』のキャラクター、ドロシー・ゲイル(演:ジュディ・ガーランド)のために書かれた曲です。
『オズの魔法使』が公開された1939年は『風と共に去りぬ』『駅馬車』なども公開され “ハリウッド史上最高の年” といわれていました。それらを対象とした第12回アカデミー賞で、『オズの魔法使』のスコアを担当したハーバート・ストサートはアカデミー作曲賞を、劇中歌『Over the Rainbow』を作曲したハロルド・アーレンとエドガー・イップ・ハーバーグはアカデミー歌曲賞を受賞しました。
また、撮影当時16歳だったジュディ・ガーランドには特別賞(Academy Juvenile Award, 子役賞)が授与されました。
ドロシーがオズの国で北の良い魔女とマンチキン達に出会う
Artist | ビリー・バーク(Billy Burke, 1884-1970) グリンダ(北の良い魔女)を演じたアメリカの女優。 |
ジュディ・ガーランド(Judy Garland, 1922-1969) ドロシーを演じたアメリカの女優/歌手。 | |
ザ・マンチキンズ・コーラス(The Munchkins Chorus) | |
リリース | 1939年:Soundtrack『オズの魔法使』 |
作曲者 | ハロルド・アーレン(Harold Arlen, 1905-1986) エドガー・イップ・ハーバーグ(E.Y. Harburg, 1896-1981) |
『Munchkinland Musical Sequence』には、以下の曲がメドレー形式で入っています。
・Come Out, Come Out…(邦題『みんな出てらっしゃい』)
北の良い魔女が、ドロシーに挨拶するよう隠れていたマンチキン達を誘い出す。
・It Really Was No Miracle(邦題『奇跡じゃないわ』)
ドロシーがオズの国にたどり着いた経緯を歌う。
・We Thank You Very Sweetly(邦題『あなたのお陰だ、ありがとう』)
マンチキン達がドロシーに魔女を退治してくれてありがとうとお礼を言う。
・Ding-Dong! The Witch Is Dead(邦題『鐘を鳴らせ!悪い魔女は死んだ』)
マンチキン達がドロシーを馬車に乗せ魔女の死を祝うパレードをする。
・As Mayor Of Munchkin City(邦題『マンチキン市の市長として』)
ファンファーレと共に市長が登場しドロシーを歓迎して歌う。
・As Coroner, I Must Aver(邦題『検死官として』)
検死官が死亡証明書を持って現れ、魔女が死亡したことを確認したと歌う。
・Ding-Dong! The Witch Is Dead (Reprise)(邦題『鐘を鳴らせ!悪い魔女は死んだ (リプライズ)』)
市長が、今日はマンチキンとその子孫の独立記念日だと表明し再びパレードが始まる。
・The Lullaby League(邦題『子守歌リーグ』)
バレエの衣装を着たマンチキンの3人の少女がドロシーのために踊る。
・The Lollipop Guild(邦題『ペロペロ飴組合』)
ロリポップを持ったマンチキンの3人の少年がドロシーを歓迎する。
・We Welcome You To Munchkinland(邦題『マンチキンの国へようこそ』)
ドロシーの名を讃え銅像を建てようと市長が言い、皆がドロシーに感謝を伝える。
ドロシーがマンチキン達に見送られエメラルド・シティに出発する
邦題『黄色いレンガの道をたどって』/『オズの魔法使いに会いに行こう』
リリース | 1939年:Soundtrack『オズの魔法使』 |
作曲者 | ハロルド・アーレン(Harold Arlen, 1905-1986) エドガー・イップ・ハーバーグ(E.Y. Harburg, 1896-1981) |
カカシがドロシーに「脳みそがあったら何をするの?」と聞かれて歌う
邦題『もしも知恵があったなら』
Artist | レイ・ボルジャー(Ray Bolger, 1904-1987) 案山子を演じたアメリカの俳優/歌手。 |
ジュディ・ガーランド(Judy Garland, 1922-1969) ドロシーを演じたアメリカの女優/歌手。 | |
リリース | 1939年:Soundtrack『オズの魔法使』 |
作曲者 | ハロルド・アーレン(Harold Arlen, 1905-1986) エドガー・イップ・ハーバーグ(E.Y. Harburg, 1896-1981) |
カカシがドロシーと一緒に魔法使いに会いにいくこととなり二人で旅に出発する(ドロシーとカカシが歌う)
オズの魔法使いに会いに行こう (デュエット)
Artist | レイ・ボルジャー(Ray Bolger, 1904-1987) 案山子を演じたアメリカの俳優/歌手。 |
ジュディ・ガーランド(Judy Garland, 1922-1969) ドロシーを演じたアメリカの女優/歌手。 | |
リリース | 1939年:Soundtrack『オズの魔法使』 |
作曲者 | ハロルド・アーレン(Harold Arlen, 1905-1986) エドガー・イップ・ハーバーグ(E.Y. Harburg, 1896-1981) |
ドロシーがリンゴをもぎ取りリンゴの木を怒らせる(カカシが木を挑発して実を手に入れる)
邦題『林檎の木の下で』
作曲者 | エグバート・ヴァン・アルスタイン(Egbert Van Alstyne, 1878-1951) アメリカのソングライター/ピアニスト。 |
ハリー・ウィリアムズ(Harry Williams, 1879-1922) アメリカの作曲家/作詞家。 | |
作曲年 | 1905年 |
映画『オズの魔法使』ではインストゥルメンタル版が使われていました。
ブリキ男がドロシーに胸を叩かせ「職人が心を入れ忘れ空洞なんだ」と話し歌い踊る
邦題『もしもハートがあったなら』
Artist | ジャック・ヘイリー(Jack Haley, 1897-1979) ブリキ男を演じたアメリカの俳優/コメディアン。 |
リリース | 1939年:Soundtrack『オズの魔法使』 |
作曲者 | ハロルド・アーレン(Harold Arlen, 1905-1986) エドガー・イップ・ハーバーグ(E.Y. Harburg, 1896-1981) |
ブリキ男が旅の仲間に加わり、ドロシー・カカシ・ブリキ男の3人の旅が始まる
オズの魔法使いに会いに行こう (トリオ)
Artist | ジャック・ヘイリー(Jack Haley, 1897-1979) ブリキ男を演じたアメリカの俳優/コメディアン。 |
レイ・ボルジャー(Ray Bolger, 1904-1987) 案山子を演じたアメリカの俳優/歌手。 | |
ジュディ・ガーランド(Judy Garland, 1922-1969) ドロシーを演じたアメリカの女優/歌手。 | |
リリース | 1939年:Soundtrack『オズの魔法使』 |
作曲者 | ハロルド・アーレン(Harold Arlen, 1905-1986) エドガー・イップ・ハーバーグ(E.Y. Harburg, 1896-1981) |
臆病なライオンが「勇気されあればライオンらしくなれるのに」とドロシー達に気持ちを打ち明ける
邦題『もしも勇気があったなら』
Artist | バート・ラー(Bert Lahr, 1895-1967) ライオンを演じたアメリカの俳優/コメディアン。 |
ジャック・ヘイリー(Jack Haley, 1897-1979) ブリキ男を演じたアメリカの俳優/コメディアン。 | |
レイ・ボルジャー(Ray Bolger, 1904-1987) 案山子を演じたアメリカの俳優/歌手。 | |
ジュディ・ガーランド(Judy Garland, 1922-1969) ドロシーを演じたアメリカの女優/歌手。 | |
リリース | 1939年:Soundtrack『オズの魔法使』 |
作曲者 | ハロルド・アーレン(Harold Arlen, 1905-1986) エドガー・イップ・ハーバーグ(E.Y. Harburg, 1896-1981) |
ライオンが旅の仲間に加わり、4人の旅が始まる
オズの魔法使いに会いに行こう (カルテット)
Artist | バート・ラー(Bert Lahr, 1895-1967) ジャック・ヘイリー(Jack Haley, 1897-1979) レイ・ボルジャー(Ray Bolger, 1904-1987) ジュディ・ガーランド(Judy Garland, 1922-1969) |
リリース | 1939年:Soundtrack『オズの魔法使』 |
作曲者 | ハロルド・アーレン(Harold Arlen, 1905-1986) エドガー・イップ・ハーバーグ(E.Y. Harburg, 1896-1981) |
ケシ畑で眠ってしまったドロシーが良い魔女のおかげで目を覚まし、四人がエメラルドの都に向けて軽やかに歩き出す
希望をもって
リリース | 1939年:Soundtrack『オズの魔法使』 |
作曲者 | ハロルド・アーレン(Harold Arlen, 1905-1986) エドガー・イップ・ハーバーグ(E.Y. Harburg, 1896-1981) |
宮殿に入った四人が馬車に乗り “ピカピカ&ゴシゴシ社”で 身なりを整える
邦題『これがオズの笑い方』
リリース | 1939年:Soundtrack『オズの魔法使』 |
作曲者 | ハロルド・アーレン(Harold Arlen, 1905-1986) エドガー・イップ・ハーバーグ(E.Y. Harburg, 1896-1981) |
魔法使いとの面会を前にして、臆病なライオンが “俺は森の王になれる ” 言い突然歌い出す
邦題『もし私が森の王だったら』
Artist | バート・ラー(Bert Lahr, 1895-1967) ライオンを演じたアメリカの俳優/コメディアン。 |
リリース | 1939年:Soundtrack『オズの魔法使』 |
作曲者 | ハロルド・アーレン(Harold Arlen, 1905-1986) エドガー・イップ・ハーバーグ(E.Y. Harburg, 1896-1981) |
ドロシーと共に西の魔女の城に連れ去られたトトが城から抜け出す
3つの幻想曲あるいはカプリス Op.16 – 第2曲 スケルツォ ホ短調 MWV U71
作曲者 | フェリックス・メンデルスゾーン(Felix Mendelssohn, 1809-1847) ドイツ・ロマン派の作曲家/指揮者/ピアニスト/オルガニスト。 |
作曲年 | 1829年 |
カカシ達がトトに案内されてドロシーが閉じ込められている部屋を見つける
交響詩「禿山の一夜」
作曲者 | モデスト・ムソルグスキー(Modest Mussorgsky, 1839-1881) ロシアの作曲家。ロマン派の時代にロシア独自の音楽的アイデンティティを探求したロシア音楽の革新者として知られる。作曲家集団「ロシア五人組」の一人。 代表作『禿山の一夜』『展覧会の絵』 |
作曲年 | 1867年 |
『禿山の一夜』は、19世紀のロシアの作曲家ムソルグスキーが作った管弦楽曲です。
「聖ヨハネ祭前夜、禿山に地霊チェルノボーグが現れ手下の魔物や幽霊、精霊達と大騒ぎするが、夜明けとともに消え去っていく」といった内容のロシア民話を元に作られました。
カカシがオズから “思考学の博士号” の証書を渡される
ガウデアムス
『ガウデアムス』は、ヨーロッパ各国に伝わる伝統的な学生歌です。
歌詞はラテン語で書かれており、主に大学の卒業式で歌われています。
「やっぱり家が一番」の呪文を唱えるドロシーが自宅のベッドで目を覚ます
邦題『埴生の宿』
作曲者 | ヘンリー・ローリー・ビショップ(Henry Rowley Bishop, 1786-1855) イギリスのロマン派音楽・作曲家。 |
ジョン・ハワード・ペイン(John Howard Payne, 1791-1852) アメリカの俳優/詩人/劇作家。 |
『Home Sweet Home』は、19世紀後半から特にアメリカで人気のあった歌曲です。
南北戦争中、故郷を思い起こさせて兵士が脱走する可能性があるとの理由からか、北軍のキャンプではこの曲の演奏が禁止されていました。
原曲は、アメリカの劇作家ジョン・ハワード・ペインが書いた戯曲をもとにイギリスの作曲家ヘンリー・ローリー・ビショップが1823年に作ったオペラ『ミラノの乙女クラリ』(The Miller and His Men)の人気のアリアです。
1852年に、作曲者のヘンリー・ローリー・ビショップによってパーラー・バラードとして再リリースされるとすぐに楽譜は10万枚を売り上げ大ヒットしました。
エンドクレジット
邦題『虹の彼方に』
リリース | 1939年:Soundtrack『オズの魔法使』 |
作曲者 | ハロルド・アーレン(Harold Arlen, 1905-1986) エドガー・イップ・ハーバーグ(E.Y. Harburg, 1896-1981) |
エンドクレジットでは、インストゥルメンタル版が使われていました。
『オズの魔法使』のサントラ
『オズの魔法使』はハーバート・ストサート(Herbert Stothart)が音楽を担当しました。
ハーバート・ストサートは、アメリカ・ウィスコンシン州ミルウォーキー生まれの作曲家です。1930年代から20年近く、MGMの映画作品のために多数の音楽を手掛けたことで知られています。『オズの魔法使』ではアカデミー作曲賞を受賞しました。

『オズの魔法使』キャスト・スタッフ
監督 | ヴィクター・フレミング(Victor Fleming) |
キング・ヴィダー (King Vidor) | |
脚本 | ノエル・ラングレー(Noel Langley) |
フローレンス・ライアソン(Florence Ryerson) | |
エドガー・アラン・ウルフ(Edgar Allan Woolf) | |
原作 | ライマン・フランク・ボーム(L. Frank Baum) |
製作 | マーヴィン・ルロイ(Mervyn LeRoy) |
音楽 | ハーバート・ストサート(Herbert Stothart) |
配給 | メトロ・ゴールドウィン・メイヤー |
公開 | 1939年8月25日 |
1954年12月22日 | |
上映時間 | 101分 |
ドロシー:ジュディ・ガーランド(Judy Garland)
案山子/ハンク:レイ・ボルジャー(Ray Bolger)
ブリキ男/ヒッコリー:ジャック・ヘイリー(Jack Haley)
ライオン/ジーク:バート・ラー(Bert Lahr)
グリンダ(北の良い魔女):ビリー・バーク(Billie Burke)
ミス・ガルチ/西の悪い魔女:マーガレット・ハミルトン(Margaret Hamilton)
オズの大魔法使い/占い師マーヴェル/御者/門番:フランク・モーガン(Frank Morgan)
ヘンリーおじさん:チャールズ・グレープウィン(Charley Grapewin)
エムおばさん:クララ・ブランディック(Clara Blandick)
トト:テリー(Terry)
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