2023年にフランスで制作された映画『ふたりのマエストロ』(原題:Maestro(s))は、それぞれ指揮者として活躍する父と息子が次期ミラノ・スカラ座音楽監督の座をめぐって騒動に巻き込まれるドラマ映画です。
ブリュノ・シッシュが監督を務め、イヴァン・アタル、ピエール・アルディティらが出演しています。
- 『ふたりのマエストロ』の挿入曲
- オープニング・クレジット
- 授賞式翌日の朝、ヴィルジニがドニのベッドで目を覚ます(ドニが別室で弾いている曲)
- フランソワが乗るタクシーのラジオから、授賞式でドニが指揮をした演奏が流れる
- ホールでフランソワがオーケストラとの練習を行う(フランソワの指揮でオーケストラが演奏する曲)
- 父へのオファーは自分宛の誤報だったと知ったドニが眠れぬ夜を過ごし、父へ手紙を書き始める
- ドニがスタジオでヴィルジニの演奏を聴く(ヴィルジニが演奏する曲)
- ドニが教会でレベッカの演奏を聴く(レベッカがソロを演奏する曲)
- ドニがスタジオでオーケストラを指揮する(ドニの指揮でオーケストラが演奏する曲)
- マチューが右手、ドニが左手で父子がピアノ連弾をする
- ドニがパリの自宅でスコアを読み、書き込みをする
- ドニがスカラ座でモーツァルトを指揮する
- エンドクレジット
- 『ふたりのマエストロ』のサントラ
- 『ふたりのマエストロ』キャスト・スタッフ
『ふたりのマエストロ』の挿入曲
『ふたりのマエストロ』の挿入曲を流れた順番に紹介していきます。(ネタバレにご注意ください)
オープニング・クレジット
(ドニの授賞式を欠席したフランソワが自宅でレコードをかけて流す曲)
ジプシーの歌 Op. 55, B. 104 – 第4曲「我が母の教え給いし歌」
作曲者 | アントニン・ドヴォルザーク(Antonín Dvorák, 1841-1904) 後期ロマン派のチェコの作曲家。 ボヘミアの民俗色豊かな作品を数多く作り19世紀後半に国際的名声を博した。チェコ国民楽派を代表する作曲家の一人。 |
作曲年 | 1880年 |
Artist | ルネ・フレミング(Renée Fleming) アメリカのソプラノ歌手、1959年ペンシルベニア州インディアナ生まれ。 |
イギリス室内管弦楽団(English Chamber Orchestra) ロンドンを拠点とする室内オーケストラ。1948年創設。 | |
ジェフリー・テイト(Jeffrey Tate, 1943-2017) イギリスの指揮者/鍵盤楽器奏者。イギリス室内管弦楽団の初代首席指揮者。 |
『我が母の教え給いし歌』は、チェコの詩人アドルフ・ハイドゥーク(Adolf Heyduk, 1835-1923)の詩をもとにドヴォルザークが作曲した声楽とピアノのための歌曲集『ジプシーの歌』の第4曲にあたるものです。
20世紀前半に活躍したウィーン生まれのヴァイオリニスト、フリッツ・クライスラー(Fritz Kreisler, 1875-1962)がバイオリンとピアノのために編曲し頻繁に演奏したことで、ヴァイオリン/チェロの小品(インストゥルメンタル・バージョン)としても広く知られるようになりました。
授賞式翌日の朝、ヴィルジニがドニのベッドで目を覚ます(ドニが別室で弾いている曲)
8つのピアノ小品 Op. 76 – 第7番 間奏曲 イ短調
作曲者 | ヨハネス・ブラームス(Johannes Brahms, 1833-1897) ドイツの作曲家/ピアニスト/指揮者。 |
作曲年 | 1878年 |
この後「マチューが右手、ドニが左手で父子がピアノ連弾をする」でもこの曲が使われています。
フランソワが乗るタクシーのラジオから、授賞式でドニが指揮をした演奏が流れる
ヴァイオリン協奏曲第5番 イ長調「トルコ風」 K. 219 – 第1楽章
作曲者 | ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart, 1756 -1791) 18世紀古典派を代表するオーストリアの作曲家。 幼い頃から並外れた音楽の才能を示し「神童」と呼ばれる。 5歳ですでに作曲を始め35歳の若さで亡くなるまで600を超える作品を作る。オペラ、協奏曲、交響曲、室内楽、器楽曲などあらゆるジャンルにわたり名作を残し西洋音楽に大きな影響を与えた。 |
作曲年 | 1775年 |
この後「ドニがパリの自宅でスコアを読み、書き込みをする」でもこの曲が使われています。
ホールでフランソワがオーケストラとの練習を行う(フランソワの指揮でオーケストラが演奏する曲)
(演奏中に携帯電話が鳴りフロンソワが激怒するシーン)
交響曲第9番 ニ短調「合唱付き」 Op. 125 – 第2楽章
作曲者 | ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(Ludwig van Beethoven, 1770-1827) ドイツの作曲家。ウィーンの古典音楽を最高の発展に導き、ロマン派音楽への道を切り開いた音楽史において極めて重要な作曲家の一人。聴力を失いながらも音楽への情熱を燃やし続け、数々の名曲を生み出したその偉業から日本では「楽聖」として称えられる。 |
作曲年 | 1824年 |
父へのオファーは自分宛の誤報だったと知ったドニが眠れぬ夜を過ごし、父へ手紙を書き始める
(小澤征爾がスカラ座で指揮を振る映像をドニが見るシーン)
アヴェ・マリア
作曲者 | ウラディーミル・ヴァヴィロフ(Vladimir Fiodorovich Vavilov, 1925-1973) 旧ソビエト連邦のギタリスト/リュート奏者/作曲家。 |
作曲年 | 1970年頃 |
Artist | エリーナ・ガランチャ(Elina Garanca) ラトビア出身のメゾソプラノ歌手、1976年生まれ |
ここで使われている『アヴェ・マリア』は、『グノーのアヴェ・マリア』『シューベルトのアヴェ・マリア』と並び「世界三大アヴェ・マリア」の一つに数えられる曲です。
イタリアの作曲家ジュリオ・カッチーニ(Giulio Caccini, 1551-1618)の名を冠して『カッチーニのアヴェ・マリア』と呼ばれていますが、作曲したのは旧ソビエト連邦のギタリスト、ウラディーミル・ヴァヴィロフです。ヴァヴィロフが “作曲者不詳” として発表したため、彼の死後、誤った情報が世界中に広がってしまったそうです。
ドニがスタジオでヴィルジニの演奏を聴く(ヴィルジニが演奏する曲)
白鳥の歌 D. 957 – 第4曲「セレナード」
作曲者 | フランツ・シューベルト(Franz Schubert, 1797-1828) 初期のロマン派を代表するオーストリアの作曲家。 31年の生涯で600曲もの歌曲を残し「歌曲の王」と呼ばれる。 |
作曲年 | 1828年 |
音楽家や詩人の最後の作品、また広い意味では政治家の最後の演説を指して「白鳥の歌」と呼びます。18世紀半ばからフランスで使用されている表現で、死ぬ間際の白鳥は最も美しい声で歌うという言い伝えから生まれました。
シューベルトの『白鳥の歌 D. 957』は、全14曲からなる歌曲集です。友人たちや出版社がシューベルトの遺作をまとめ、死の1年後に出版されました。
この後「エンドクレジット」でもこの曲が使われています。
ドニが教会でレベッカの演奏を聴く(レベッカがソロを演奏する曲)
14の歌 Op. 34 – 第14曲 ヴォカリーズ ホ短調
作曲者 | セルゲイ・ラフマニノフ(Sergei Rachmaninoff, 1873-1943) ロシア帝国出身の作曲家/ピアニスト/指揮者。 ロシア革命後、母国を離れヨーロッパ、アメリカで主にピアニストとして活動し亡命生活を送る。19世紀末から20世紀初頭にかけて最も活躍したヴィルトゥオーゾ・ピアニストとして知られ、作曲とピアノ演奏の両面で大きな成功を収めた。 |
作曲年 | 1915年 |
ドニがスタジオでオーケストラを指揮する(ドニの指揮でオーケストラが演奏する曲)
(フランソワが自宅でピアノを演奏する曲)
証聖者の荘厳晩課 K.339 – 第5曲 ラウダーテ・ドミヌム(主をほめ讃えよ)
作曲者 | ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart, 1756 -1791) 18世紀古典派を代表するオーストリアの作曲家。 幼い頃から並外れた音楽の才能を示し「神童」と呼ばれる。 5歳ですでに作曲を始め35歳の若さで亡くなるまで600を超える作品を作る。オペラ、協奏曲、交響曲、室内楽、器楽曲などあらゆるジャンルにわたり名作を残し西洋音楽に大きな影響を与えた。 |
作曲年 | 1779年 |
マチューが右手、ドニが左手で父子がピアノ連弾をする
(ドニがキックボードで自宅に戻った時に、息子マチューがピアノを練習している曲)
8つのピアノ小品 Op. 76 – 第7番 間奏曲 イ短調
作曲者 | ヨハネス・ブラームス(Johannes Brahms, 1833-1897) ドイツの作曲家/ピアニスト/指揮者。 |
作曲年 | 1878年 |
「授賞式翌日の朝、ヴィルジニがドニのベッドで目を覚ます(ドニが別室で演奏しているピアノ曲)」でもこの曲が使われていました。
ドニがパリの自宅でスコアを読み、書き込みをする
ヴァイオリン協奏曲第5番 イ長調「トルコ風」 K. 219 – 第1楽章
作曲者 | ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart, 1756 -1791) 18世紀古典派を代表するオーストリアの作曲家。 幼い頃から並外れた音楽の才能を示し「神童」と呼ばれる。 5歳ですでに作曲を始め35歳の若さで亡くなるまで600を超える作品を作る。オペラ、協奏曲、交響曲、室内楽、器楽曲などあらゆるジャンルにわたり名作を残し西洋音楽に大きな影響を与えた。 |
作曲年 | 1775年 |
「フランソワが乗るタクシーのラジオからドニが指揮した授賞式での演奏が流れる」でもこの曲が使われていました。
ドニがスカラ座でモーツァルトを指揮する
(誕生日にプレゼントされた指揮棒を持ってフランソワがステージにあがるシーン)
歌劇《フィガロの結婚》より序曲
作曲者 | ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart, 1756 -1791) 18世紀古典派を代表するオーストリアの作曲家。 幼い頃から並外れた音楽の才能を示し「神童」と呼ばれる。5歳ですでに作曲を始め35歳の若さで亡くなるまで600を超える作品を作る。オペラ、協奏曲、交響曲、室内楽、器楽曲などあらゆるジャンルにわたり名作を残し西洋音楽に大きな影響を与えた。 |
作曲年 | 1786年 |
『フィガロの結婚』は、フランスの劇作家ボーマルシェが書いた戯曲をもとにモーツァルトが作曲したオペラです。1786年にウィーンのブルク劇場で初演されました。
エンドクレジット
白鳥の歌 D. 957 – 第4曲「セレナード」
作曲者 | フランツ・シューベルト(Franz Schubert, 1797-1828) 初期のロマン派を代表するオーストリアの作曲家。 31年の生涯で600曲もの歌曲を残し「歌曲の王」と呼ばれる。 |
作曲年 | 1828年 |
「ドニがヴィルジニのレコーディングに立ち会う(ヴィルジニが演奏する曲)」でもこの曲が使われていました。
『ふたりのマエストロ』のサントラ
『ふたりのマエストロ』はフロレンシア・ディ・コンシリオ(Florencia Di Concilio)が音楽を担当しました。
フロレンシア・ディ・コンシリオは、ウルグアイのモンテビデオ出身の作曲家です。多数のフランス映画やドキュメンタリーで音楽を担当しています。

『ふたりのマエストロ』キャスト・スタッフ
監督 | ブリュノ・シッシュ(Bruno Chiche) |
脚本 | ブリュノ・シッシュ(Bruno Chiche) |
クレモン・ペニ(Clément Peny) | |
製作 | フィリップ・ルスレ(Philippe Rousselet) |
音楽 | フロレンシア・ディ・コンシリオ(Florencia Di Concilio) |
配給 | ギャガ |
公開 | 2022年12月7日 |
2023年8月18日 | |
上映時間 | 88分 |
ドニ・デュマール:イヴァン・アタル(Yvan Attal )
フランソワ・デュマール:ピエール・アルディティ(Pierre Arditi)
エレーヌ:ミュウ=ミュウ(Miou-Miou)
ヴィルジニ:キャロリーヌ・アングラーデ(Caroline Anglade)
ジャンヌ:パスカル・アルビロ(Pascale Arbillot)
マチュー:ニルス・オトナン=ジラール(Nils Othenin-Girard)
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