トム・クルーズ主演のスパイ映画『ミッション:インポッシブル』は、2023年現在シリーズ7作目まで発表されている大ヒットシリーズです。
映画の代名詞として広く知られるテーマ曲は、シリーズごとに異なるアレンジに編曲され、それぞれ違った趣ががあります。
今回は『ミッション:インポッシブル』シリーズ歴代のテーマ曲とサントラについて解説していきます。
『ミッション:インポッシブル』シリーズ歴代のテーマ曲とサントラ
映画『ミッション:インポッシブル』のテーマ曲は、映画の原作となったTVドラマ『スパイ大作戦』のテーマ曲を引き継いでいます。
オリジナルとなった『スパイ大作戦』テーマ曲から映画『ミッション:インポッシブル』最新作までのテーマ曲を順に紹介していきます。
- 1996年
シリーズ1作目/ブライアン・デ・パルマ監督
- 2000年
シリーズ2作目/ジョン・ウー監督
- 2006年
シリーズ3作目/J・J・エイブラムス監督
- 2011年
シリーズ4作目/ブラッド・バード監督
- 2015年
シリーズ5作目/クリストファー・マッカリー監督
- 2017年
シリーズ6作目/クリストファー・マッカリー監督
- 2023年
シリーズ7作目/クリストファー・マッカリー監督
- 製作中『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』
シリーズ8作目/クリストファー・マッカリー監督
『スパイ大作戦』(1966) テーマ曲
スパイ大作戦 メイン・タイトル
作曲者 | ラロ・シフリン(Lalo Schifrin) アルゼンチン出身の作曲家/ジャズピアニスト、1932年ブエノスアイレス生まれ。 6歳からエンリケ・バレンボイム(ダニエル・バレンボイムの父)にピアノを習い、20歳でパリ国立高等音楽に入学。フランスで、ジャズミュージシャンとしてキャリアをスタートさせ、後にアメリカ国籍を取得、映画・テレビの数多くの曲を書き活躍した。 代表作『スパイ大作戦 – テーマ曲』『暴力脱獄』『燃えよドラゴン』『ダーティハリー』 |
『Mission: Impossible Main Title』は、テレビシリーズ『スパイ大作戦』全てのエピソードのオープニングで流れたテーマ曲です。この曲が映画『ミッション:インポッシブル』のテーマ曲のもとになって使われています。
テレビドラマで使用された実際の音源は『The Best Of Mission: Impossible Then And Now – Music From The Original Television Soundtracks』に収録されています。
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1996年『ミッション:インポッシブル』テーマ曲
ミッションインポッシブルのテーマ曲
編曲者 | ダニー・エルフマン(Danny Elfman) 1953年カリフォルニア州ロサンゼルス生まれ、アメリカの作曲家。 代表作『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』『チャーリーとチョコレート工場』 |
1996年に制作されたシリーズ1作目『ミッション:インポッシブル』は、ダニー・エルフマンが音楽を担当しました。ダニー・エルフマンは、1995年に解散したロック・バンド、オインゴ・ボインゴ(Oingo Boingo)の元リーダーで、ティム・バートン監督やサム・ライミ監督の映画音楽を数多く手掛けています。
ダニー・エルフマンによるテーマは、ラロ・シフリンの原曲を大きく変えることなく、リスペクトをこめたアレンジが特徴です。ベースラインやリズムは変えずに、ブラスセクションとパーカッションを多用し、アクセントの位置をずらすことで、現代風にアレンジしています。
シリーズ1作目は、『アンタッチャブル』や『スカーフェイス』で知られるブライアン・デ・パルマ(Brian De Palma)が監督を務めています。ブライアン・デ・パルマはアルフレッド・ヒッチコックから多大な影響を受けていることで知られる監督です。音楽監督のダニー・エルフマンは、ヒッチコックの映画音楽を数多く手掛けた作曲家バーナード・ハーマンを敬愛していることもあり、今作のサントラでは影響が色濃く見られます。
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2000年『ミッション:インポッシブル2』テーマ曲
テイク・ア・ルック・アラウンド
編曲者 | フレッド・ダースト(Fred Durst) アメリカの歌手/映画監督、1970年ノースカロライナ州ガストニア生まれ。 ラップメタルバンド「リンプ・ビズキット」のボーカリスト。 |
Artist | リンプ・ビズキット(Limp Bizkit) 1994年にフロリダ州ジャクソンビルで結成されたアメリカのラップメタルバンド。 代表曲『My Generation』『Nookie』 |
2000年に制作されたシリーズ2作目『ミッション:インポッシブル2』は、リンプ・ビズキット(Limp Bizkit)がテーマ曲を制作しました。エレキギター、ベース、ドラムを中心とした楽器構成でラロ・シフリンの原曲を大胆にアレンジしています。映画冒頭では4/4拍子にアレンジされたイントロ部分と5/4拍子の間奏(インスト部分)が使用されました。
『ミッション:インポッシブル2』の音楽はハンス・ジマー(Hans Zimmer)が手掛けました。全体的にロックテイストなサントラが多いものの、アコースティックギターやボーカル入りの美しい曲もあり、ハンス・ジマーらしいダイナミックで臨場感あるサントラになっています。なかでも『Injection』は『グラディエーター』でもハンス・ジマーとコラボレーションした歌手のリサ・ジェラルド(Lisa Gerrard)が参加している人気の楽曲です。
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2006年『ミッション:インポッシブル3』テーマ曲
ミッションインポッシブルのテーマ曲
編曲者 | マイケル・ジアッチーノ(Michael Giacchino) イタリア系アメリカ人作曲家、1967年ニュージャージー州ヴァーサイド生まれ。 1990年代後半に『メダル・オブ・オナー』等のゲーム音楽を手掛け注目を集め、J・J・エイブラムス製作によるテレビ番組の音楽を続けて担当。その後ハリウッド映画の音楽も担当するようになり、アニメ映画『カールじいさんの空飛ぶ家』(2009) でアカデミー作曲賞を受賞した。 |
2006年に制作されたシリーズ3作目『ミッション:インポッシブル3』は、マイケル・ジアッチーノ(Michael Giacchino)が音楽を担当し、フルオーケストラでの演奏にこだわることで、ラロ・シフリンのオリジナルに回帰するアレンジを披露しました。
テーマ曲はストリングスとブラス、パーカッションが印象的なアレンジになっています。また、ベースラインが削除され、代わりにストリングスによる対旋律が追加されました。
全体のサントラも総勢112人のフルオーケストラで演奏されています。その代わり、既存曲が多く使われているのも『ミッション:インポッシブル3』の特徴です。
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2011年『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』テーマ曲
邦訳『導火線に点火』
編曲者 | マイケル・ジアッチーノ(Michael Giacchino) イタリア系アメリカ人作曲家、1967年ニュージャージー州ヴァーサイド生まれ。 1990年代後半に『メダル・オブ・オナー』等のゲーム音楽を手掛け注目を集め、J・J・エイブラムス製作によるテレビ番組の音楽を続けて担当。その後ハリウッド映画の音楽も担当するようになり、アニメ映画『カールじいさんの空飛ぶ家』(2009) でアカデミー作曲賞を受賞した。 |
2011年に制作されたシリーズ4作目『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』も再びマイケル・ジアッチーノが音楽を担当しました。
テーマ曲はラロ・シフリンが得意としたジャズアレンジを加えつつ、ロシア風な重厚感あるストリングスサウンドを加えたアレンジになっています。ロシア、ドバイ、インドが舞台となった今作は各地の民族音楽を取り入れたアレンジも魅力のひとつと言えるでしょう。
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2015年『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』テーマ曲
編曲者 | ジョー・クレイマー(Joe Kraemer) アメリカの作曲家、1971年ニューヨーク州バッファロー生まれ。 幼い頃からピアノを学び、バークリー音楽大学在学中に映画音楽作曲家になることを決意、クリストファー・マッカリー監督による映画『銃の道』て音楽監督デビューを果たす。 代表作『ジャック・リーチャー』『ミッション:インポッシブル – ローグ・ネイション』 |
2015年に制作されたシリーズ5作目『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』はジョー・クレイマーが音楽を担当しました。地上1524mを滑空する軍用機A400にしがみ付く、今作の目玉となったアクションシーンからOPテーマ曲が流れるため、テーマ曲のタイトルは『The A400』となっています。
ジョー・クレイマーは、ラロ・シフリンが原曲を作った1966年の環境でも演奏できるアレンジにしあげることにこだわり、エレキサウンドを一切使わず全サントラを作り上げました。メインテーマ(The A400)は、核となるメロディーをストリングスが担い、そこにブラスとパーカッションが加わるレトロなアレンジになっています。
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2018年『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』テーマ曲
編曲者 | ローン・バルフ(Lorne Balfe) スコットランドの作曲家、1976年インヴァネス生まれ。 ハンス・ジマーの映画音楽会社「リモート・コントロール・プロダクション」に所属し、映画・テレビドラマのほか、ビデオゲームの音楽も多数手がける。 代表作『ザ・クラウン』『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』 |
2018年に制作されたシリーズ6作目『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』は、ローン・バルフが音楽を担当しました。OPで流れるテーマ曲には、映画タイトル同様『Fallout』のタイトルがつけられています。
ローン・バルフによるサントラは、テーマ曲だけでなく、ラロ・シフリンがドラマ版のために作った『The Plot』のモチーフも多様しているのが特徴です。また、OPで流れたテーマ曲『Fallout』は、リズムモチーフは原曲のまま、メロディーだけを1小節ずつ引き伸ばすアレンジで壮大に仕上げています。
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2023年『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』テーマ曲
編曲者 | ローン・バルフ(Lorne Balfe) スコットランドの作曲家、1976年インヴァネス生まれ。 ハンス・ジマーの映画音楽会社「リモート・コントロール・プロダクション」に所属し、映画・テレビドラマのほか、ビデオゲームの音楽も多数手がける。 代表作:『ザ・クラウン』『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』 |
2023年に制作されたシリーズ7作目『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』は、前作から引き続きローン・バルフが音楽を担当しました。今作でも、ラロ・シフリンによるテーマ曲や『The Plot』のモチーフを多様したサントラが特徴です。
新たな試みとして、映画本編に登場する5つの都市(スイス、ローマ、ヴェネツィア、ロンドン、ウィーン)でレコーディングが行われました。35人のボンゴプレーヤーによるセッションやヴェネツィアのコーラス隊など、参加したミュージシャンは総勢555人、総レコーディング時間14時間越えと大規模なプロジェクトで制作されたそうです。
テーマ曲もパーカッションを駆使し、緊迫感と臨場感のあるサウンドに仕上がっています。スイス・バーゼルを拠点とする鼓笛隊トップ・シークレット・ドラム・コー(Top Secret Drum Corps)によるパフォーマンスも話題となりました。
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『ミッション:インポッシブル』テーマ曲のカバーバージョン
『ミッション:インポッシブル』シリーズでは、エンディングやプロモーションに映画内のテーマとは別バージョンのテーマ曲が作られたこともあります。
ここではエンディングやプロモーション用に作られれたテーマ曲を紹介いたします。
Adam Clayton & Larry Mullen Jr. (U2) – ミッション:インポッシブル(1996)
編曲者 | アダム・クレイトン(Adam Clayton) 1960年オックスフォードシャー生まれのアイルランド系イギリス人ミュージシャン。 ロックバンド「U2」のベーシスト。 |
ラリー・マレン・ジュニア(Larry Mullen Jr.) アイルランドのミュージシャン、1961年ダブリン生まれ。 ロックバンド「U2」のドラマー。 |
1996年に制作されたシリーズ1作目『ミッション:インポッシブル』のエンディング曲は、U2のベーシストアダム・クレイトンとドラマーラリー・マレン・ジュニアによるカバーバージョンが使われました。
布袋寅泰 – ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル(2011)
編曲者 | 布袋寅泰(Tomoyasu Hotei) 群馬県高崎市出身のロックミュージシャン/ギタリスト、1962年生まれ。 BOØWY、COMPLEXの元メンバー。 |
シリーズ4作目『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』では、布袋寅泰によるアレンジ版が日本国内向けプロモーションとして予告編やイベントなどで使用されました。
Tiësto – ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル(2011)
編曲者 | ティエスト(Tiesto) オランダの音楽プロデューサー/トラックメイカー/作曲家/DJ/リミキサー、1969年生まれ。 「EDM界のゴッドファーザー」の名で知られる。 |
2011年12月21日に一般公開されたシリーズ4作目『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』では、プロモーションとしてティエストによるリミックス版が先行リリースされました。
MIYAVI – ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション(2015)
編曲者 | MIYAVI(ミヤビ) 1981年大阪生まれのギタリスト。THE LAST ROCKSTARSのメンバー |
シリーズ5作目『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』では、MIYAVIによるアレンジ版が日本国内向けプロモーションとして予告編などで使用されました。
歴代『ミッション:インポッシブル』シリーズの挿入曲
『ミッション:インポッシブル』シリーズ歴代の挿入曲は下記ページで紹介しています。
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