1990年にアメリカで制作された映画『レナードの朝』(原題:Awakenings)は、エコノモ脳炎(嗜眠性脳炎)の患者と医師との交流を描いた作品です。オリバー・サックスによる医療ノンフィクションノベルをもとにペニー・マーシャルが再構成し、スティーヴン・ザイリアンが脚本を執筆しました。
第63回アカデミー賞では、作品賞を含む3部門にノミネートされています。
- 『レナードの朝』の挿入曲
- セイヤー医師が自宅でピアノを演奏する曲
- セイヤー医師が患者の反応を見る為にレコードをかけて流す曲
- 男性看護師がレコードで流すと患者(ローズ)が食事を始める曲
- 今まで反応の無かった患者(バート)が自分で食事をするようになる曲
- 母親が不安で眠れないレナードの頭をなでながら歌う子守唄
- セイヤー医師の車のラジオから流れる曲(レナードを町に連れていく)
- レナードがカーラジオのチャンネルを変えて流す曲
- 植物園の後に行くダンスホールで演奏される曲
- ダンスホールでセイヤー医師が女性患者(ローズ)に誘われダンスを踊る曲
- 病院で患者(ローランド)がピアノを演奏する曲
- 病院で患者(ルーシー)が歌う曲
- ルーシーが看護師のエレノアに不安な気持ちを打ち明けるシーン
- 食堂でポーラがレナードの手をとりダンスをするシーン
- 『レナードの朝』のサントラ
- 『レナードの朝』キャスト・スタッフ
『レナードの朝』の挿入曲
『レナードの朝』の挿入曲を流れた順番に紹介していきます。(ネタバレにご注意ください)
セイヤー医師が自宅でピアノを演奏する曲
1969年、セイヤー医師が看護師(エレノア)の誘いを断り帰宅し、一人で過ごすシーン
謝肉祭 作品9 – 第5曲:オイゼビウス
作曲者 | ロベルト・シューマン(Robert Schumann, 1810-1856) ドイツの作曲家/ピアニスト/音楽評論家。 交響曲から合唱曲まで幅広い分野で作品を残し、特にピアノ曲と歌曲で高評価を得る19世紀のドイツロマン派を代表する作曲家。 |
作曲年 | 1834年〜1835年 |
セイヤー医師が患者の反応を見る為にレコードをかけて流す曲
歌劇《ラ・ボエーム》 第1幕「ああ、麗しの乙女」
作曲者 | ジャコモ・プッチーニ(Giacomo Puccini, 1858-1924) イタリアの作曲家。 19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したイタリア・オペラを代表する作曲家。 |
Artist | ミレッラ・フレーニ(Mirella Freni, 1935-2020) イタリアのソプラノ歌手。 |
ニコライ・ギャウロフ(Nicolai Gedda, 1929-2004) ブルガリアのバス歌手。 | |
ローマ歌劇場管弦楽団(Orchestra of the Opera House, Rome) イタリアのローマ歌劇場所属のオーケストラ。 | |
トーマス・シッパーズ(Thomas Schippers, 1930-1977) アメリカの指揮者。 |
『ラ・ボエーム』は、プッチーニが、アンリ・ミュルジェールの小説『ボヘミアン生活の情景』を題材に作った全4幕からなるオペラです。
男性看護師がレコードで流すと患者(ローズ)が食事を始める曲
特定の音楽で身体が反応する患者がいることがわかるシーン
Artist cover ver. | フレッチャー・ヘンダーソン(Fletcher Henderson, 1897-1952) アメリカのジャズ・ピアニスト/作曲家/編曲家。 |
リリース | 1924年 |
作曲者 | ジーン・ロデミッチ(Gene Rodemich, 1890-1934) アメリカのピアニスト/オーケストラリーダー。 |
ラリー・コンレイ(Larry Conley, 1895-1960) アメリカのトロンボーン奏者/バンドリーダー/ソングライター。 | |
Original ver. | 1924年:Fry’s Million Dollar Pier Orchestra |
今まで反応の無かった患者(バート)が自分で食事をするようになる曲
男性看護師が誇らしげにセイヤー医師にそのことを伝えるシーン
邦題『紫のけむり』
Artist | ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix, 1942-1970) アメリカ出身のギタリスト/シンガーソングライター。 サイケデリックなファッションに派手なステージパフォーマンス、即興性の高い演奏スタイルで60年代後半のロックシーンを席巻した。1970年に27歳という若さで他界。半世紀以上経った今も数多くのアーティストを惹き付ける伝説の天才ギタリスト。 |
リリース | 1967年 |
作曲者 | ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix, 1942-1970) |
母親が不安で眠れないレナードの頭をなでながら歌う子守唄
作曲者 | ジェシー・ゲイナー(Jessie Gaynor, 1863-1921) アメリカの児童音楽作曲家。 |
アリス・ライリー(Alice Riley, 1867-1955) アメリカの作家。 |
セイヤー医師の車のラジオから流れる曲(レナードを町に連れていく)
レナードが助手席の窓から外を眺め、ブロンクスの変化に驚くシーン
オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットと管弦楽のための協奏交響曲 変ホ長調 KV 297b – 第3楽章
作曲者 | ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart, 1756 -1791) 18世紀古典派を代表するオーストリアの作曲家。 |
作曲年 | 1778年 |
レナードがカーラジオのチャンネルを変えて流す曲
二人が車を降りて街を歩くシーンでもこの曲が流れています。
邦題『ふたりのシーズン』
Artist | ゾンビーズ(The Zombies) 1961年にロンドン郊外のセント・アルバーンズで結成されたソフトロックバンド。 |
リリース | 1968年 |
作曲者 | ロッド・アージェント(Rod Argent) イギリスのミュージシャン。ゾンビーズ(The Zombies)のリーダー/キーボーディストとして知られる。 |
植物園の後に行くダンスホールで演奏される曲
シング・シング・シング
作曲者 | ルイ・プリマ(Louis Prima, 1910-1978) アメリカのトランペッター/ボーカリスト/作曲家/エンターテイナー。 ニューオーリンズに住むイタリア系アメリカ人の音楽一家に生まれ、ニューオーリンズ・ジャズをルーツに、R&B、ロックンロール、ブギウギ、タランテラなど様々な音楽ジャンルを演奏。1936年からビッグバンドを率い「The King of Swing」の異名を手に入れ、50年代にはラスベガスのショーマンとして人気を博す。 |
Original ver. | 1936年:ルイ・プリマ(Louis Prima, 1910-1978) |
『シング・シング・シング』は、ジャズのスタンダードナンバーです。
ダンスホールでセイヤー医師が女性患者(ローズ)に誘われダンスを踊る曲
作曲者 | ジョセフ・マッカーシィ(Joseph McCarthy, 1893-1961) アメリカのテノール歌手。 |
ジェイムズ・モナコ(James V. Monaco) イタリア生まれのポピュラー音楽・作曲家。 | |
Original ver. | 1913年:ウイリアム J. ハレー(William J. Halley, 1893-1961) |
病院で患者(ローランド)がピアノを演奏する曲
デクスター・ゴードンのチューン
リリース | 1991年:Soundtrack『レナードの朝』 |
作曲者 | ランディ・ニューマン(Randy Newman) アメリカの歌手/ピアニスト/作曲家/指揮者、1943年ロサンゼルス生まれ。『モンスターズ・インク』『トイ・ストーリー3』の曲を手掛け、アカデミー歌曲賞を2度受賞。 |
劇中ピアノを弾く患者ローランドを演じるのは、ジャズ・テナー・サクソフォーン奏者のデクスター・ゴードン(Dexter Gordon, 1923-1990)です。
ここでは、デクスター・ゴードンのサックスによる演奏動画を紹介します。
この後「食堂でポーラがレナードの手をとりダンスをするシーン」でもこの曲が使われています。
病院で患者(ルーシー)が歌う曲
作曲者 | ジェームズ・モロイ(James Molloy, 1837- 1909) アイルランド出身の作曲家/詩人。 法律の学位は取得したが弁護士として働くことはせず人生の大半をロンドンで過ごし作曲家として成功を収めた。 |
G. クリフトン・ビンガム(G. Clifton Bingham, 1859-1913) イギリスの作詞家/絵本作家。 | |
初出版 | 1884年 |
ルーシーが看護師のエレノアに不安な気持ちを打ち明けるシーン
(邦訳:私はいつも虹を追いかけている)
作曲者 | ハリー・キャロル(Harry Carroll, 1892-1962) アメリカのソングライター/ピアニスト/作曲家。 |
ジョセフ・マッカーシィ(Joseph McCarthy, 1893-1961) アメリカのテノール歌手。 | |
Original ver. | 1918年:ハリー・フォックス(Harry Fox, 1882-1959) アメリカのヴォードヴィルダンサー/俳優/コメディアン。 |
『I’m Always Chasing Rainbows』は、1918年初演のブロードウェイミュージカル『Oh, Look!”』のために作られました。
旋律は、ポーランドの作曲家フレデリック・ショパンが作曲したピアノ曲『即興曲第4番 嬰ハ短調 遺作 作品66』(幻想即興曲)の中間部の主題が使われています。
食堂でポーラがレナードの手をとりダンスをするシーン
デクスター・ゴードンのチューン
Artist | ランディ・ニューマン(Randy Newman) アメリカの歌手/ピアニスト/作曲家/指揮者、1943年ロサンゼルス生まれ。『モンスターズ・インク』『トイ・ストーリー3』の曲を手掛け、アカデミー歌曲賞を2度受賞している。 |
リリース | 1991年:Soundtrack『レナードの朝』 |
作曲者 | ランディ・ニューマン(Randy Newman) |
「病院で患者(ローランド)がピアノを演奏する曲」でもこの曲が使われていました。
『レナードの朝』のサントラ
『レナードの朝』はランディ・ニューマン(Randy Newman)が音楽を担当しました。
ランディ・ニューマンはアメリカ・カリフォルニア州出身の歌手/ピアニスト/作曲家です。『モンスターズ・インク』や『トイ・ストーリー3』でアカデミー歌曲賞を受賞しました。
『レナードの朝』キャスト・スタッフ
監督 | ペニー・マーシャル(Penny Marshall) |
脚本 | スティーヴン・ザイリアン(Steven Zaillian) |
原作 | オリヴァー・サックス(Oliver Sacks) |
製作 | ウォルター・F・パークス(Walter F. Parkes) |
ローレンス・ラスカー(Lawrence Lasker) | |
音楽 | ランディ・ニューマン(Randy Newman) |
配給 | コロンビア・トライスター映画 |
公開 | 1990年12月22日 |
1991年4月5日 | |
上映時間 | 121分 |
レナード・ロウ:ロバート・デ・ニーロ(Robert De Niro)
マルコム・セイヤー医師:ロビン・ウィリアムズ(Robin Williams)
エレノア・コステロ:ジュリー・カブナー(Julie Kavner)
ロウ夫人:ルース・ネルソン(Ruth Nelson)
カウフマン医師:ジョン・ハード(John Heard)
ポーラ:ペネロープ・アン・ミラー(Penelope Ann Miller)
ピーター・インガム医師:マックス・フォン・シドー(Max von Sydow)
ルーシー:アリス・ドラモンド(Alice Drummondl)
ローズ:ジュディス・マリナ(Judith Malina)
シドニー:リチャード・リバティーニ(Richard Libertini)
フランク:ジョージ・マーティン(George Martin)
ローランド:デクスター・ゴードン(Dexter Gordon)
薬学士:ピーター・ストーメア(Peter Stormare)
病院の用務員:ヴィン・ディーゼル(Vin Diesel)

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