2023年にアメリカで製作された『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』(原題:A Haunting in Venice)は、イタリア・ヴェネツィアを舞台にした推理映画です。ケネス・プラナーが主演・監督を務める『名探偵ポアロ』シリーズ3作目です。
原作『ハロウィーン・パーティ』は、探偵エルキュール・ポアロシリーズ31作目にあたります。
『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』の挿入曲
『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』の挿入曲を流れた順番に紹介していきます。(ネタバレにご注意ください)
ベネチアの情景 & ポアロの朝
When the Lights Go On Again
作曲:Bennie Benjamin, Sol Marcus and Eddie Seiler
オリジナル版:Vaughn Monroe and His Orchestra(1942)
アーティスト:Vera Lynn(1962)
『When the Lights Go On Again』は、第二次世界大戦中に作られた曲です。
第二次世界大戦時の1940年9月7日〜1941年5月10日の約8カ月間、ロンドンを中心とした英国各地では「ザ・ブリッツ」と呼ばれるドイツ空軍による大規模な空襲がありました。
ザ・ブリッツ(The Blitz)は、ドイツ語で稲妻を意味します。
ロンドンの家屋の3分の1が破壊され、市民は、防空壕、地下鉄構内などに身を寄せ合って空襲に耐え忍びました。
この曲の歌詞は、「ザ・ブリッツ」に対抗するために課されたロンドンの停電にインスピレーションを得て、人々に希望と静けさを与えるために書かれたと言われています。
タイトルの「When the Lights Go On Again(邦訳:再び明かりが灯るとき)」には、戦争終結への願いがこめられています。
ここでは、第二次大戦中に慰問コンサートで人気を博し「イギリス軍の恋人」と呼ばれた国民的歌手ヴェラ・リンの演奏が使われています。
エルキュール・ポアロはイタリアのベネチアで隠遁生活を送っていました。
1947年、@イタリア ベネチア
この後、以下のシーンでもこの曲が使われています。
「医師フェリエが虚ろな目で口ずさむ曲」
「地下の隠し部屋を見た医師フェリエが口ずさむ曲」
「エンディング」
アリアドニとポワロがハロウィンの街を歩く
In the Mood
作曲:Joseph Garland
オリジナル版:Edgar Hayes and His Orchestra(1938)
アーティスト:Glenn Miller & His Orchestra(1939)
『イン・ザ・ムード』は、ジャズのスタンダードナンバーです。
アメリカのジャズピアニスト、エドガー・ヘイズがレコーディングし、1938年にリリースされました。
ここでは、グレン・ミラー楽団の演奏が使われています。このバージョンがヒットしたことで、『イン・ザ・ムード』はビッグバンドの定番レパートリーとなりました。
グレン・ミラーは、1904年米・アイオワ州生まれのトロンボーン奏者です。
1937年に「グレン・ミラー楽団」を結成し次々とヒット曲を出し、映画にも出演するなど人気を博しました。その後第二次世界大戦が勃発、1942年グレン・ミラーは人気絶頂期に突然バンドを解散し、陸軍航空軍に入隊しました。
入隊後は、慰問楽団を率いて慰問演奏を行っていましたが、大戦末期の1944年12月、英仏海峡上空を飛行中に乗っていた専用機が消息を断ち、グレン・ミラーは行方不明となりました。 遺体は回収されず、その後、死亡が宣言されたそうです。
アコーディオン奏者が船着場で演奏している曲
Meet Me in St. Louis, Louis
作曲:Kerry Mills and Andrew Sterling
オリジナル版:Billy Murray(1904)
『Meet Me in St. Louis, Louis』は、セントルイス万国博覧会の開催に合わせて1904年に流行した歌です。『セントルイスで会いましょう』の邦題で知られています。
ジュディ・ガーランド主演の1944年のアメリカミュージカル映画『若草の頃』(原題:Meet Me in St. Louis, )のでもこの曲が使われ人気となりました。
ポアロがゴンドラに乗り屋敷に向かうまで流れています。
ハロウィンパーティのBGM 1曲目
When the Saints Go Marching In(Traditional)
この曲は『聖者の行進』『聖者が街にやってくる』の邦題で知られているディキシーランドジャズのスタンダードナンバーです。
昔話が終わりこの曲が流れ出すと、子供達は元気に屋敷の中を走り回ります。
屋敷でのハロウィンパーティ 2曲目のBGM
Battle Hymn of the Republic
作曲:Julia Ward Howe and William Steffe
『Battle Hymn of the Republic』は、1862年に発表されたアメリカの愛国歌です。
アメリカの作曲家ウィリアム・ステッフが作った讃美歌のメロディをもとに、奴隷制度廃止運動家の女流詩人ジュリア・ウォード・ハウが歌詞を書きました。
この曲は、南北戦争で北軍の行軍曲として歌われ、戦後も広く歌い継がれ、国内外問わず様々な替え歌の原曲としても親しまれています。日本ではキャンプソングとして知られている『ごんべさんの赤ちゃん』『太郎さんの赤ちゃん』がそれにあたります。
ドレイク家の家政婦オルガがアリアドニに話しかけるシーンで、BGMは変わっています。
ハロウィンパーティで子供達が歌う曲
Giro Giro Tondo(Traditional)
『Giro Giro Tondo』は、イタリアに古くから伝わる童謡です。
日本の「かごめかごめ」のように手をつなぎ輪になって歌いながらぐるぐる回る子供の遊びで歌われています。
イタリアの作曲家オットリーノ・レスピーギの交響詩『ローマの松』の第1部では、この旋律が引用され、子供が遊んでいる情景が表現されています。
ポアロと屋敷の女主人ロウィーナが話をするシーン。
子供達は、バケツに浮かべたリンゴを手を使わずに口で取る「アップルボビング」というゲームを楽しんでいます。「アップルボビング」はハロウィンの定番ゲームとなった、イングランド生まれのゲームです。
この後「ポアロにだけ聞こえる ”子供が歌う曲” 」でもこの曲が使われています。
ニコラスとデズデモーナの話を聞きアリアドニが口ずさむ曲
The Trolley Song
作曲:Ralph Blane and Hugh Martin
オリジナル版: Judy Garland(1944)
『The Trolley Song』は、1944年のアメリカミュージカル映画『若草の頃』(原題:Meet Me in St. Louis, )のオリジナルサウンドトラックです。主演をつとめたジュディ・ガーランドが歌い、1944年にリリースされました。
医師フェリエが虚ろな目で口ずさむ曲
When the Lights Go On Again
作曲:Bennie Benjamin, Sol Marcus and Eddie Seiler
オリジナル版:Vaughn Monroe and His Orchestra(1942)
第二次世界大戦中に作られた人気曲『When the Lights Go On Again』です。
「ベネチアの風景 & ポアロの朝」
「地下の隠し部屋を見た医師フェリエが口ずさむ曲」
「エンディング」でもこの曲が使われています。
ポアロ達が霊能力者と一緒に階段を登りアリシアの部屋に向かうと、階上では医師がこの曲を口ずさんでいました。
ポアロにだけ聞こえる ”子供が歌う曲”
Giro Giro Tondo(Traditional)
イタリアに古くから伝わる童謡『Giro Giro Tondo』です。
「ハロウィンパーティで子供達が歌う曲」でもこの曲が使われていました。
地下の隠し部屋を見て医師が口ずさむ曲
When the Lights Go On Again
作曲:Bennie Benjamin, Sol Marcus and Eddie Seiler
オリジナル版:Vaughn Monroe and His Orchestra(1942)
第二次世界大戦中に作られた人気曲『When the Lights Go On Again』です。
「ベネチアの風景 & ポアロの朝」
「医師フェリエが虚ろな目で口ずさむ曲」
「エンディング」でもこの曲が使われています。
エンディング
When the Lights Go On Again
作曲:Bennie Benjamin, Sol Marcus and Eddie Seiler
オリジナル版:Vaughn Monroe and His Orchestra(1942)
アーティスト:Vera Lynn(1962)
イギリスの国民的歌手ヴェラ・リンが歌う『When the Lights Go On Again』です。
「ベネチアの風景 & ポアロの朝」
「医師フェリエが虚ろな目で口ずさむ曲」
「地下の隠し部屋を見た医師フェリエが口ずさむ曲」でもこの曲が使われていました。
『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』のサントラ
『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』はヒドゥル・グドナドッティル(Hildur Guðnadóttir)が音楽を担当しました。ヒドゥル・グドナドッティルは、アイスランド出身の作曲家/女性チェリストです。アイスランドのエレクトロニカバンド、ムームのメンバーとしても知られています。
『ジョーカー』の映画音楽で、第92回アカデミー作曲賞を受賞しました。
『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』キャスト・スタッフ
監督 | ケネス・ブラナー(Kenneth Branagh) |
脚本 | マイケル・グリーン(Michael Green) |
原作 | アガサ・クリスティ(Agatha Christie) |
製作 | ケネス・ブラナー(Kenneth Branagh) |
リドリー・スコット(Ridley Scott) | |
ケヴィン・J・ウォルシュ(Kevin J. Walsh) | |
ジュディ・ホフランド(Judy Hofflund) | |
配給 | ウォルト・ディズニー・ジャパン |
公開 | 2023年9月15日 |
2023年9月15日 | |
上映時間 | 103分 |
エルキュール・ポアロ:ケネス・ブラナー(Kenneth Branagh)
アリアドニ・オリヴァ:ティナ・フェイ(Tina Fey)
ロウィーナ・ドレイク:ケリー・ライリー(Kelly Reilly)
アリシア・ドレイク:ローワン・ロビンソン(Rowan Robinson)
マキシム・ジェラード:カイル・アレン(Kyle Allen)
オルガ・セミノフ:カミーユ・コッタン(Camille Cottin)
ドクター・レスリー・フェリエ:ジェイミー・ドーナン(Jamie Dornan)
レオポルド・フェリエ:ジュード・ヒル(Jude Hill)
ヴィターレ・ポルトフォリオ:リッカルド・スカマルチョ(Riccardo Scamarcio)
ジョイス・レイノルズ:ミシェル・ヨー(Michelle Yeoh)
ニコラス・ホランド:アリ・カーン(Ali Khan)
デズデモーナ・ホランド:エマ・レアード(Emma Laird)
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