2020年にアメリカで制作された『オン・ザ・ロック』(原題:On the Rocks)は、NY在住の女流作家が、夫の浮気疑惑を父に相談したことから起こる出来事を描いた作品です。
ソフィア・コッポラが監督・脚本をつとめ、ビル・マーレイが父役を、ラシダ・ジョーンズが娘役を演じました。
- 『オン・ザ・ロック』の挿入曲
- オープニング
- ローラが娘のマヤを学校に送る
- 娘のテオの習い事でみんなが歌う曲
- ディーンの会社のパーティ BGM
- 娘の名前はここからとったと言ってフェリックスが車の中で歌う
- ローラとフェリックスがバレエ教室にマヤを迎えに行く
- フェリックスがローラの家に入る時に歌う曲
- フェリックスが車で自宅に戻るシーン
- フェリックスとローラがディーンのいる会場に車で向かうシーン
- 尾行中のフェリックスとローラが車の中でキャビアを食べる
- ディーンが自分に興味を失ったのでないかとローラが気落ちする
- フェリックスが知り合いの誕生パーティーにローラを連れて行く
- フェリックスとローラがゴルフカートでコンドミニアムに向かう
- メキシコの海岸近くのバーでフランクが歌う曲
- エンドクレジット
- 『オン・ザ・ロック』のサントラ
- 『オン・ザ・ロック』キャスト・スタッフ
『オン・ザ・ロック』の挿入曲
『オン・ザ・ロック』の挿入曲を流れた順番に紹介していきます。(ネタバレにご注意ください)
オープニング
アイ・フォール・イン・ラヴ・トゥ・イージリー
Artist cover ver. | チェット・ベイカー(Chet Baker, 1929-1988) アメリカ・オクラホマ州生まれのジャズトランペット奏者/ボーカリスト。 ウエストコースト・ジャズ・シーンの代表的トランペット奏者。その甘いルックスから「ジャズ界のジェームス・ディーン」と呼ばれ、人気を博した。 |
リリース | 1954年 |
作曲者 | サミー・カーン(Sammy Cahn, 1913-1993) ニューヨーク出身のアメリカの作詞家。 映画『愛の泉』(1954)、『抱擁』(1957)、『波も涙も暖かい』(1959)、『パパは王様』(1963) の曲を書き、アカデミー作曲賞を4度受賞した。 |
ジューリー・スタイン(Jule Styne, 1905-1994) イギリス生まれのアメリカのソングライター。 映画『愛の泉』(1954) のタイトル曲を書き、アカデミー作曲賞を受賞した。 | |
Original ver. | 1945年:フランク・シナトラ(Frank Sinatra, 1915-1998) イタリア系アメリカ人のエンターテイナー/歌手/俳優。 クルーナーボイスと呼ばれる歌声で多くのファンを獲得し、映画俳優としても数多くの映画に出演。1953年の映画『地上より永遠に』ではアカデミー助演男優賞を受賞。1950年代から60年代にかけては、ディーン・マーティン、サミー・デイヴィスJr.らと「ラット・パック」(The Rat Pack)と呼ばれるエンターテインメントグループを組み幅広い分野で活躍、ショービジネス界のカリスマ的スターとして一時代を築いた。 |
『I Fall in Love Too Easily』は、ジャズのスタンダードナンバーです。
第18回アカデミー賞でミュージカル映画音楽賞を受賞した『錨を上げて』(1945)でフランク・シナトラが歌い人気となりました。ここでは、アメリカのジャズトランペット奏者チェット・ベーカーのバージョンが使われています。
ローラが娘のマヤを学校に送る
Artist | マイケル・ナイマン(Michael Nyman) イギリスの作曲家/ピアニスト/指揮者/作家/音楽学者/写真家/映画製作者、1944年ロンドン生まれ。アメリカの作曲家ジョン・ケイジの研究家としても知られ、1980年代からは映画音楽の作曲家としても活動してる。 |
リリース | 1982年 |
作曲者 | マイケル・ナイマン |
娘のテオの習い事でみんなが歌う曲
邦題『バスのうた』
作曲者 | ヴァーナ・ヒルズ(Verna Hills, 1898-1990) ボストン出身のアメリカのソングライター。 |
『The Wheels on the Bus』は、20世紀前半にイギリスの童謡『Here We Go Round the Mulberry Bush』をもとにして作られたアメリカの民謡です。
リズムに合わせて体を動かし歌う人気の遊び歌で、英語圏の子供を中心に世界中で親しまれています。
ディーンの会社のパーティ BGM
Artist | ポーチーズ(Porches) 2010年に結成されたアーロン・メイン(Aaron Maine)のシンセポップ・プロジェクト。 |
リリース | 2018年 |
作曲者 | アーロン・メイン(Aaron Maine) ニューヨークを拠点とするアメリカのミュージシャン。 |
娘の名前はここからとったと言ってフェリックスが車の中で歌う
(ローラの父フェリックスの登場シーン)フェリックスとローラが口笛で吹くのもこの曲です。
ローラ
リリース | 1944年:Soundtrack『ローラ殺人事件』 |
作曲者 | デイヴィッド・ラクシ(David Raksin, 1912-2004) アメリカの作曲家。100以上の映画音楽と300以上のテレビ音楽を手掛け「映画音楽のグランドファーザー」(Grandfather of Film Music)と呼ばれた。 代表作『ローラ殺人事件』『旅路』 |
ジョニー・マーサー(Johnny Mercer, 1909-1976) クロアチア/アイルランド系アメリカ人作詞者。 キャピトル・レコードの共同創設者の一人。映画『ハーヴェイ・ガールズ』(1946)、『花婿来たる』(1951)、『ティファニーで朝食を』(1961)、『酒とバラの日々』(1962) の劇中歌の作詞を手掛け、アカデミー歌曲賞を4回受賞した。 |
『Laura』は、1944年のミステリ映画『ローラ殺人事件』のために作られた曲です。
曲のヒット後に、ジョニー・マーサーによって歌詞がつけられました。
ローラとフェリックスがバレエ教室にマヤを迎えに行く
作曲者 | マイケル・ジーグラー(Michael Zeigler) |
Artist | ベンティ・ペトロフ(Venti Petrov) |
『Assemblé No.1』は、バレエのレッスンで使われる曲です。
ニューヨークでバレエ講師を務めているベンティ・ペトロフ監修のCDに収録されています。
フェリックスがローラの家に入る時に歌う曲
バレエ教室からの帰り、フェリックスは孫達に風船を買ってあげ、家に入る時には歌詞を変えてこの歌を歌い孫達を喜ばせています。
作曲者 | バディ・ケイ(Buddy Kaye, 1918-2002) アメリカのソングライター/作詞家/アレンジャー/プロデューサー/作家。 |
シドニー・リップマン(Sidney Lippman, 1914-2003) アメリカの作曲家/ソングライター。 | |
フレッド・ワイズ(Fred Wise, 1915-1966) アメリカの作詞家。 | |
Original ver. | 1948年:バディ・ケイ・クインテット(The Buddy Kaye Quintet) |
『’A’ You’re Adorable』は、1948年に発表されたポピュラーソングです。
ペリー・コモが歌い、広く知られるようになりました。
アメリカの子ども向けテレビ教育番組「セサミストリート」では、1969年〜1970年の放送開始当初、アルファベットを学ぶ遊び歌としてこの曲が使われていました。
フェリックスが車で自宅に戻るシーン
ローラの家を出たフェリックスは、エントランスでディーンと出くわし挨拶程度の会話を交わしました。その後、自宅に戻るシーンでこの曲が流れます。
4つの即興曲 作品90, D. 899 – 第3番 変ト長調
作曲者 | フランツ・シューベルト(Franz Schubert, 1797-1828) 初期のロマン派を代表するオーストリアの作曲家。 31年の生涯で600曲もの歌曲を残し「歌曲の王」と呼ばれる。 |
作曲年 | 1827年頃 |
Artist | アルフレッド・ブレンデル(Alfred Brendel, 1931-2025) チェコ出身のオーストリアのピアニスト。 |
『4つの即興曲 作品90 D 899』はシューベルトが亡くなる前の年に作曲したピアノ独奏曲です。ここで使われている3番は、シューベルトの生前には発表されず、死からだいぶ経った1857年に出版されました。
フェリックスとローラがディーンのいる会場に車で向かうシーン
イン・オービット
Artist | クラーク・テリー(Clark Terry, 1920-2015) アメリカのジャズトランペット/フリューゲルホルン奏者。 |
セロニアス・モンク(Thelonious Monk, 1917-1982) アメリカのジャズピアニスト/作曲家。ビバップのパイオニアの一人と評される。 | |
リリース | 1958年 |
作曲者 | クラーク・テリー |
『In Orbit』は、セロニアス・モンクとクラーク・テリーの共演によるアルバム『Clark Terry Quartet With Thelonious Monk』に収録されています。
尾行中のフェリックスとローラが車の中でキャビアを食べる
ネッスーノ
Artist cover ver. | ミーナ(Mina) イタリアの歌手/女優、1940年生まれ。 1958年にデビュー。長身と美貌、 3オクターブの声域の軽快で俊敏なソプラノボイスを特徴とし、イタリアン・ポップス界の女王的存在として一世を風靡した。 |
リリース | 1959年 |
作曲者 | エディリオ・カポトスティ(Edilio Capotosti, 1924-1996) イタリアのソングライター/ミュージシャン/バンドリーダー。 |
アントニエッタ・デ・シモーネ(Antonietta de Simone, 1931-2023) イタリアの作詞家。 | |
Original ver. | 1959年:ベティ・クルティス(Betty Curtis, 1936-2006) ミラノ出身のイタリアの女性歌手。 |
『Nessuno』は、イタリアで開催された第9回サンレモ音楽祭(1959)で発表された曲です。
ディーンが自分に興味を失ったのでないかとローラが気落ちする
フェリックスはさりげなくローラを励まします。
@アメリカ ニューヨーク、ベーメルマンス・バー(Bemelmans Bar)
アイ・ゲット・アロング・ウィズアウト・ユー・ヴェリー・ウェル
Artist cover ver. | チェット・ベイカー(Chet Baker, 1929-1988) アメリカ・オクラホマ州生まれのジャズトランペット奏者/ボーカリスト。 ウエストコースト・ジャズ・シーンの代表的トランペット奏者。その甘いルックスから「ジャズ界のジェームス・ディーン」と呼ばれ、人気を博した。 |
リリース | 1954年 |
作曲者 | ホーギー・カーマイケル(Hoagy Carmichael, 1899-1981) アメリカの作曲家/歌手/ピアニスト/バンドリーダー。 代表曲『スターダスト』『我が心のジョージア』 |
Original ver. | 1939年:ラリー・クリントン楽団(Larry Clinton and His Orchestra) |
『I Get Along Without You Very Well (Except Sometimes)』は、ジャズのスタンダードナンバーです。ジャズ・ヴィブラフォン奏者、レッド・ノーヴォ(Red Norvo)のバージョンがヒットしたことで広く知られるようになりました。
この曲は、ショパンの『即興曲第4番 嬰ハ短調 遺作 作品66』(幻想即興曲)の中間部の主題を用いて作られています。
フェリックスが知り合いの誕生パーティーにローラを連れて行く
フェリックスは、クロード・モネの「睡蓮」が飾ってあるコーナーにローラを連れて行きます。そして絵を見せながらローラの母との思い出を語ります。
邦題『春の如く』
作曲者 | ロジャース&ハマースタイン(Rodgers & Hammerstein) リチャード・ロジャース(Richard Rodgers, 1902-1979)とオスカー・ハマースタイン2世(Oscar Hammerstein II, 1895-1960)によるソングライターコンビ。1940年代から1950年代のミュージカル黄金時代に人気ミュージカルを数多く製作し、ブロードウェイミュージカルの基盤を作り上げた。 代表作『オクラホマ!』『王様と私』『サウンド・オブ・ミュージック』 |
Original ver. | ビル・エヴァンス・トリオ(The Bill Evans Trio) アメリカのジャズトリオ。モダン・ジャズを代表するピアニスト、ビル・エヴァンスが率いる。 |
『It Might as Well Be Spring』、1945年のミュージカル映画『ステート・フェア』(原題:State Fair)のために作られた曲です。リチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタイン2世の作曲家コンビは、この曲でアカデミー歌曲賞を受賞しました。
フェリックスとローラがゴルフカートでコンドミニアムに向かう
@メキシコ
グアダラハラ
作曲者 | ペペ・ギザール(Pepe Guízar, 1906-1980) メキシコの作曲家/詩人/ミュージシャン。 |
Original ver. | シルベストレ・バルガス&マリアッチ楽団(Mariachi Guadalajara de Silvestre Vargas) メキシコのマリアッチミュージシャン、シルベストレ・バルガス(Silvestre Vargas)が率いる楽団。 |
『グアダラハラ』(Guadalajara)は、メキシコの作曲家ペペ・ギザールが作った有名なマリアッチの歌です。
グアダラハラは、メキシコの中西部に位置する北米有数の世界都市です。スペイン植民地時代の建築様式が数多く残り、その街並みの美しさから「西部の真珠」と呼ばれています。
作曲家ギザールは、この都市「グアダラハラ」に敬意を表して曲を書いたと伝えられています。
メキシコの海岸近くのバーでフランクが歌う曲
作曲者 | ジャック・テニー(Jack Tenney, 1898-1970) アメリカの政治家/弁護士。 カリフォルニアで1940年代から1950年代初頭にかけて反共産主義の調査を主導したことで知られている。 |
ヘレン・ストーン(Helen Stone) アメリカの歌手。ジャック・テニーが率いる楽団で歌手を務めていた。 |
『Mexicali Rose』は、ジャック・テニーがソングライターをしていた頃(1920年代初頭)に作った作品です。
バンドリーダーとしても活躍していたジャック・テニーは、カリフォルニアとメキシコの国境近くの街カレクシコのホテルやクラブでこの曲を頻繁に演奏しました。
その後、ジーン・オートリーとビング・クロスビーのバージョンがヒットしたことで、ラテンのスタンダードナンバーになりました。
エンドクレジット
アイデンティカル
Artist | フェニックス(Phoenix) 1995年に結成されたフランスのインディー・ロックバンド。 |
リリース | 2020年 |
作曲者 | Phoenix トーマス・マーズ(Thomas Mars) デック・ダーシー(Deck D’Arcy) ローラン・ブランコウィッツ(Laurent Brancowitz) クリスチャン・マザライ(Christian Mazzalai) |
『オン・ザ・ロック』のサントラ
『オン・ザ・ロック』はフェニックス(Phoenix)が音楽を担当しました。
フェニックスは、フランス・ヴェルサイユ生まれの4人で結成されたロックバンドです。多くのソフィア・コッポラ作品に音楽を提供しています。
※『オン・ザ・ロック』のサントラは現在まで一度も配信・販売されていません。
『オン・ザ・ロック』キャスト・スタッフ
監督 | ソフィア・コッポラ(Sofia Coppola) |
脚本 | ソフィア・コッポラ(Sofia Coppola) |
製作 | ソフィア・コッポラ(Sofia Coppola) |
ユーリー・ヘンリー(Youree Henley) | |
音楽 | フェニックス(Phoenix) |
配給 | 東北新社、STAR CHANNEL MOVIES |
公開 | 2020年10月2日 |
2020年10月2日 | |
上映時間 | 97分 |
フェリックス:ビル・マーレイ(Bill Murray)
ローラ:ラシダ・ジョーンズ(Rashida Jones)
ディーン:マーロン・ウェイアンズ(Marlon Wayans)
フィオナ:ジェシカ・ヘンウィック(Jessica Henwick)
ヴァネッサ:ジェニー・スレイト(Jenny Slate)
テオ:アレクサンドラ&アナ・ライナー(Alexandra and Anna Reimer)
グラン:バーバラ・ベイン(Barbara Bain)
オキャラハン巡査:マイク・ケラー(Mike Keller)
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