87ノース・プロダクションズ(87North Productions)/87イレブン・アクション・デザイン(87Eleven Action Design)は、スタントやアクションに特化したアメリカの映画制作スタジオです。『ジョン・ウィック』シリーズや『Mr.ノーバディ』、『ブレット・トレイン』などの作品を手がけたことで知られています。
このページでは、87ノース・プロダクションズ/87イレブンの特徴と同スタジオが製作した長編映画、今後製作&公開予定の作品について解説いたします。
制作会社「87ノース・プロダクションズ/87イレブン」について
87イレブン・アクション・デザインと87ノース・プロダクションズは、どちらもアクションに特化したアメリカの映画制作スタジオです。
87イレブン・アクション・デザインは、1997年にチャド・スタエルスキとデヴィッド・リーチが設立した制作会社で、スタントマンの育成からトレーニング、スタント用機材の貸し出しなど多角的にアクション・コーディネートを行っています。
87ノース・プロダクションズは、2019年4月にデヴィッド・リーチが妻ケリー・マコーミックと共に設立した製作会社です。ユニバーサル・ピクチャーズの提携会社として設立されました。カリフォルニア州サンセット大通り沿いにある大聖堂を改築して作られた本社には、トレーニングスタジオや撮影スタジオも併設されています。
どちらもアクション・コーディネートやスタントマンの育成、アクション映画の製作に力を入れています。
チャド・スタエルスキとデヴィッド・リーチ
チャド・スタエルスキとデヴィッド・リーチは90年代にダン・イノサント・アカデミーで出会いました。
チャド・スタエルスキ(Chad Stahelski)は、24歳でスタントの世界に飛び込み、1994年『クロウ/飛翔伝説』でブランドン・リーのボディ・ダブルをつとめ、スタントマンとして広く知られる存在となりました。
デヴィッド・リーチ(David Leitch)は、90年代後半にスタントマンとしてのキャリアをスタートさせ、1999年『ファイト・クラブ』でブラッド・ピットのボディ・ダブルをつとめ、以降ブラッド・ピットやマット・デイモンのボディ・ダブルをつとめていました。
意気投合した二人は、スタントマンが切磋琢磨しチームで働ける仕組みづくりを目指し、1997年に共同で87イレブン・アクション・デザインを設立。以後、『300 〈スリーハンドレッド〉』や『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』で第2班監督をつとめ、映画界で大きく知られる存在となりました。
87イレブン・アクション・デザイン
チャド・スタエルスキとデヴィッド・リーチが設立した87イレブン・アクション・デザインでは、スタントマンの育成からアクションシーンの撮影まで、アクション・コーディネートに関する一連の業務を行っています。
2009年『ニンジャ・アサシン』、2012年『SAFE/セイフ』などの映画では、製作会社の一員として、アクション・シーンにまつわるプロデュースを行い、87イレブンのチームメンバーで行う完成度の高いアクションシーンで業界評価を高めていきました。
映画『マトリックス』でチャド・スタエルスキがボディダブルをつとめて以降、親交のあるキアヌ・リーブスが『ジョン・ウィック』の企画をチャド・スタエルスキとデヴィッド・リーチに持ちかけ、二人が監督を務めることが決定。87イレブン・アクション・デザインの名を世界に知らしめ、名実共にハリウッドのアクションシーンを牽引する存在となりました。
映画『デイ・シフト』以降、製作会社としてクレジットされる際には87Eleven Entertainment表記が使われています。
87ノース・プロダクションズ
全米映画監督協会では「原則1つの映画には、1人の監督名がクレジットされる」という規定があるため、『ジョン・ウィック』でデヴィッド・リーチはノンクレジットでの共同監督扱いとなりました。しかし、それでも二人は『ジョン・ウィック』シリーズ続編の構想を練り続けたそうです。
また、同時期に『ジョン・ウィック』を気に入ったシャーリーズ・セロンが、自身が主役・製作を務めることが決まっていた『アトミック・ブロンド』の監督としてデヴィッド・リーチを推薦します。
上記2つの理由が重なり、デヴィッド・リーチは続編『ジョン・ウィック:チャプター2』の監督を降板し、『アトミック・ブロンド』の監督に就任しました。
『アトミック・ブロンド』の成功を受け、デヴィッド・リーチは妻ケリー・マコーミックと共に制作スタジオ87ノース・プロダクションズを設立。ケリー・マコーミックはデヴィッドとチャドのマネージャを長年勤めている映画プロデューサーです。87ノース・プロダクションズはCAA(クリエイティヴ・アーティスツ・エージェンシー)契約を結び、ユニバーサル・ピクチャーズとはファースト・ルック契約を交わすなど、順調なスタートを切りました。
2021年の『Mr.ノーバディ』は、87ノース・プロダクションズが製作をつとめ、ユニバーサルが配給を担当。翌年2022年にはデヴィッド・リーチが数度ボディ・ダブルを務めたブラッド・ピットを主演に迎え『ブレット・トレイン』を監督・製作しました。
87ノース・プロダクションズ/87イレブンが製作した主な長編映画13作品を紹介
87ノース・プロダクションズ/87イレブンが製作に関わった長編映画を第1作目から年代順に紹介します。
(※日本公開が遅かった作品は製作年と公開年が異なる場合があります。)
2009年:『ニンジャ・アサシン』
87イレブンがクレジットされている初期の長編映画は2009年に製作された『ニンジャ・アサシン』です。『マトリックス』シリーズを手がけたウォシャウスキー姉妹が製作に関わり、87イレブンはアクション・デザインでクレジットされています。韓国人歌手のRAIN(ピ)が主役の雷蔵役を務め、敵対するニンジャ役小角役をショー・コスギが演じました。 | ||
監督 | ジェームズ・マクティーグ | |
脚本 | マシュー・サンド J・マイケル・ストラジンスキー | |
製作 | ジョエル・シルバー ウォシャウスキー姉妹 グラント・ヒル | |
音楽 | イラン・エシュケリ | |
配給 | ワーナー・ブラザース | |
公開 | 2009年11月25日 2010年3月6日 | |
上映時間 | 99分 |
2012年:『SAFE/セイフ』
87イレブンが製作協力としてクレジットされています。『タイタンズを忘れない』の監督として知られるボアズ・イェーキンが監督をつとめ、ジェイソン・ステイサムが主役を演じました。 | ||
監督 | ボアズ・イェーキン | |
脚本 | ボアズ・イェーキン | |
製作 | ローレンス・ベンダー デイナ・ブルネッティ | |
音楽 | マーク・マザーズボー | |
配給 | ポニーキャニオン | |
公開 | 2012年4月27日 2012年10月13日 | |
上映時間 | 95分 |
今後87ノース・プロダクションズ/87イレブンが製作する可能性のある作品
87ノース・プロダクションズ/87イレブン・エンターテインメントが製作に関わることが発表されている、もしくは製作する可能性があると情報が出ているものをまとめました。
他にもカンフー映画やベストセラー小説「Shibumi」の映画化など、さまざまな企画が進んでいます。
Filmmusikでも引き続き最新情報をチェックしていきます!
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