2017年にアメリカで制作された映画『ファントム・スレッド』(原題:Phantom Thread)は、1950年代ロンドンを舞台とし、オートクチュールの天才仕立て屋レイノルズとミューズとの関係を描いた恋愛映画です。
ポール・トーマス・アンダーソンが監督をつとめ、ダニエル・デイ=ルイスが仕立て屋レイノルズを演じました。
第90回アカデミー賞では作品賞を含む6部門にノミネートされ、衣装デザイン賞を受賞しました。
- 『ファントム・スレッド』の挿入曲
- ハーディング夫人がレイノルズのサロンを訪れ、新作ガウンを受け取る
- レイノルズが海辺のホテルのレストランで働くアルマをディナーに誘う
- レイノルズとアルマが初めてレストランに行く(レストランのBGM)
- レイノルズとアルマが親密な関係になる
- レイノルズがアルマのドレスを作り、アルマはミューズとして迎え入れられる
- 顧客とドミニカ人男性との結婚披露パーティーにレイノルズとアルマが出席する(パーティーで流れる曲)
- ベルギー王女がサロンを訪れ、レイノルズにウェディングドレスの製作を依頼する
- レイノルズがアルマとXmasパーティーに出席し、ハーディ医師と再会する(パーティーで流れる曲)
- ハーディ医師が隣に座るアルマをニューイヤーパーティーに誘う(ディナーで流れる曲)
- レイノルズがニューイヤーパーティーの会場に入り、アルマを探す(パーティーで演奏されている曲)
- レイノルズがアルマを見つける(パーティーで演奏されている曲)
- 『ファントム・スレッド』のサントラ
- 『ファントム・スレッド』キャスト・スタッフ
『ファントム・スレッド』の挿入曲
『ファントム・スレッド』の挿入曲を流れた順番に紹介していきます。(ネタバレにご注意ください)
ハーディング夫人がレイノルズのサロンを訪れ、新作ガウンを受け取る
邦題『愚かなり我が心』
| Artist cover ver. | オスカー・ピーターソン(Oscar Peterson, 1925-2007) カナダ出身のジャズ・ピアニスト/作曲家。 60年以上にわたるキャリアの中、世界中で何千ものコンサートを行い多くの賞や栄誉を受賞した。20世紀を代表するジャズピアニストの一人。 |
| リリース | 1963年 |
| 作曲者 | ネッド・ワシントン(Ned Washington, 1901-1976) ペンシルベニア州スクラントン出身のアメリカの作詞家。 映画『ピノキオ』(1940) でアカデミー作曲賞&歌曲賞の2部門を、『真昼の決闘』(1952) でアカデミー歌曲賞を受賞した。 |
| ヴィクター・ヤング(Victor Young, 1899-1956) アメリカの作曲家/指揮者/編曲家/ヴァイオリン奏者。 映画『八十日間世界一周』(1956) の音楽を担当し、アカデミー作曲賞を受賞した。 | |
| Original ver. | 1949年:マーサ・ミアーズ(Martha Mears, 1910-1986) アメリカの歌手。1940年代から1950年代にかけて多くの映画女優の歌声を担当した。 |
『My Foolish Heart』は、1949年の同名恋愛映画(邦題『愚かなり我が心』)の主題歌です。
レイノルズが海辺のホテルのレストランで働くアルマをディナーに誘う
マイ・シップ
| Artist cover ver. | オスカー・ピーターソン(Oscar Peterson, 1925-2007) カナダ出身のジャズ・ピアニスト/作曲家。 60年以上にわたるキャリアの中、世界中で何千ものコンサートを行い多くの賞や栄誉を受賞した。20世紀を代表するジャズピアニストの一人。 |
| リリース | 1963年 |
| 作曲者 | アイラ・ガーシュウィン(Ira Gershwin, 1896-1983) アメリカの作詞家。ジョージ・ガーシュウィンの兄。 1924年から弟ジョージとソングライティング・チームを組み、20世紀を代表する数多くの楽曲を残した。 |
| クルト・ヴァイル(Kurt Weill, 1900-1950) ドイツ生まれのアメリカの作曲家。 | |
| Original ver. | 1941年:ガートルード・ローレンス(Gertrude Lawrence, 1898-1952) イギリスの女優/歌手/ダンサー。 |
『My Ship』は、1941年初演のブロードウェイミュージカル『レディ・イン・ザ・ダーク』(Lady in the Dark)のために書かれたポピュラーソングです。
レイノルズとアルマが初めてレストランに行く(レストランのBGM)
ドリー組曲 Op. 56 (4手ピアノ版) – 第1曲「子守歌」
| 作曲者 | ガブリエル・フォーレ(Gabriel Fauré, 1845-1924) フランスの作曲家/オルガニスト/ピアニスト/教育者。 カミーユ・サン=サーンスにピアノや作曲を学び、ピアノ曲・歌曲・室内楽曲などを中心に叙情的で完成度の高い作品を数多く作曲した。モーリス・ラヴェル、フローラン・シュミット、ジョルジェ・エネスクらの師としても知られる。 |
| 作曲年 | 1893-1896年 |
| Artist | ラベック姉妹(Katia Labèque and Marielle Labèque) フランスの姉妹ピアノデュオ。 |
レイノルズとアルマが親密な関係になる
(レイノルズがレストランで熱狂的な女性ファンから声をかけられるシーンからこの曲が流れています。)
弦楽四重奏曲 ト短調 Op. 10 – 第2楽章
| 作曲者 | クロード・ドビュッシー(Claude Debussy, 1862-1918) フランス印象派を代表する作曲家。 象徴主義の詩人たちの影響を受け、印象主義音楽と呼ばれる新しい流派を創始。不協和音程・変化和音・全音音階などを積極的に用いた独自の手法で色彩的な響きを追究し、現代音楽の扉を開いた。 |
| 作曲年 | 1893年 |
| Artist | エマーソン弦楽四重奏団(Emerson String Quartet) 1976年にジュリアード音楽院で設立されたアメリカの弦楽四重奏団。 カルテット名はアメリカの詩人・哲学者のラルフ・ワルド・エマーソン(Ralph Waldo Emerson)に由来する。ニューヨーク州を拠点に活動を続け、30枚以上のアルバムを発表した。 |
レイノルズがアルマのドレスを作り、アルマはミューズとして迎え入れられる
ピアノ三重奏曲第2番 変ホ長調 Op. 100, D. 929 – 第1楽章
| 作曲者 | フランツ・シューベルト(Franz Schubert, 1797-1828) 初期のロマン派を代表するオーストリアの作曲家。 ロマン派の抒情詩と音楽の芸術的融合を果たし、歌曲を芸術性の高い一大ジャンルへ引き上げた。「歌曲の王」と呼ばれる。 |
| 作曲年 | 1827年 |
| Artist | ボザール・トリオ(Beaux Arts Trio) 1955年にピアニストのメナヘム・プレスラー(Menahem Pressler)によって結成されたアメリカのピアノ三重奏団。2008年の解散まで半世紀にわたりメンバーを変えながら演奏を重ね、多くの名録音を残した。 |
顧客とドミニカ人男性との結婚披露パーティーにレイノルズとアルマが出席する(パーティーで流れる曲)
コンバドレ・ペドロ・ファン
| Artist original ver. | ルイス・アルベルティ(Luis Alberti, 1906-1976) ドミニカ共和国のメレンゲ・ミュージシャン/編曲家/指揮者。 |
| リリース | 1951年 |
| 作曲者 | ルイス・アルベルティ |
ベルギー王女がサロンを訪れ、レイノルズにウェディングドレスの製作を依頼する
(アルマがサプライズディナーで、レイノルズを出迎えるシーンまでこの曲が流れています。)
16のワルツ Op. 39 – 第11番 ロ短調
| 作曲者 | ヨハネス・ブラームス(Johannes Brahms, 1833-1897) 後期ロマン派を代表するドイツの作曲家/ピアニスト/指揮者。 『ドイツ・レクイエム』(1868) で名声を博し、ドイツ屈指の作曲家としての地位を確立。バッハ・ベートーベンと共に “ドイツ三大B” と称される。 |
| 作曲年 | 1865年 |
| Artist | イディル・ビレット(Idil Biret) トルコの女性ピアニスト、1941年生まれ。バーを変えながら演奏を重ね、多くの名録音を残した。 |
レイノルズがアルマとXmasパーティーに出席し、ハーディ医師と再会する(パーティーで流れる曲)
デイドリーム
| Artist cover ver. | ビリー・ストレイホーン(Billy Strayhorn, 1915-1967) アメリカジャズピアニスト/作曲家/アレンジャー。デューク・エリントンとのコラボで知られる。 代表曲『A列車で行こう』 |
| リリース | 1963年 |
| 作曲者 | デューク・エリントン(Duke Ellington, 1899-1974) アメリカのジャズの作曲家/編曲家/ピアニスト/オーケストラ・リーダー。 1927年からニューヨーク・ハーレムのコットン・クラブに出演し名声を確立。一流奏者を揃えたビッグバンド「エリントン楽団」を率いてそれぞれの楽器の特色を生かした独自のサウンドを作り上げ、数多くのジャズ・スタンダードを生み出した。 |
| ビリー・ストレイホーン(Billy Strayhorn, 1915-1967) | |
| Original ver. | 1940年:ジョニー・ホッジス(Johnny Hodges, 1907-1970) アメリカのアルトサックス奏者。 |
ハーディ医師が隣に座るアルマをニューイヤーパーティーに誘う(ディナーで流れる曲)
幻想交響曲 Op. 14 – 第2楽章「舞踏会」
| 作曲者 | エクトル・ベルリオーズ(Hector Berlioz, 1803-1869) フランスのロマン派音楽の作曲家/指揮者。 オーケストラの編成の大規模な拡張や多彩な管絃楽法を駆使し、物語や情景、感情などを音楽で力強く表現した。標題音楽の創始者の一人として知られる。 |
| 作曲年 | 1830年 |
| Artist | ボストン交響楽団(Boston Symphony Orchestra) マサチューセッツ州ボストンを拠点とするアメリカのオーケストラ。1881年設立。 |
| シャルル・ミュンシュ(Charles Münch, 1891-1968) フランスの指揮者/ヴァイオリニスト。 |
レイノルズがニューイヤーパーティーの会場に入り、アルマを探す(パーティーで演奏されている曲)
邦題『勇敢なるスコットランド』
『Scotland the Brave』は、スコットランドの愛国歌です。
レイノルズがアルマを見つける(パーティーで演奏されている曲)
オールド・ラング・サイン
| 作曲者 | ロバート・バーンズ(Robert Burns, 1759-1796) スコットランドの詩人/作詞家。 スコットランドの方言で生命感とユーモアにあふれる抒情詩や風刺詩を書き、国民詩人と称された。また、スコットランド民謡の収集・校訂・改作に尽力し、文化の振興に多大な功績を残したことでも知られる。 |
『オールド・ラング・サイン』は、スコットランドの民謡です。
日本では『蛍の光』の原曲として知られています。
英語圏の国々では、大晦日のカウントダウンで年が明けた瞬間にこの曲が歌われます。
『ファントム・スレッド』のサントラ
『ファントム・スレッド』はジョニー・グリーンウッド(Jonny Greenwood)が音楽を担当しました。
ジョニー・グリーンウッドは、イングランド・オックスフォード生まれのミュージシャン、レディオヘッドのギタリストです。『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』『リコリス・ピザ』など、ポール・トーマス・アンダーソン作品の音楽を数多く担当していることでも知られています。
※サントラ収録曲
1. Phantom Thread I
2. The Hem
3. Sandalwood I
4. The Tailor of Fitzrovia
5. Alma
6. Boletus Felleus
7. Phantom Thread II
8. Catch Hold
9. Never Cursed
10. That’s As May Be
11. Phantom Thread III
12. I’ll Follow Tomorrow
13. House of Woodcock
14. Sandalwood II
15. Barbara Rose
16. Endless Superstition
17. Phantom Thread IV
18. For the Hungry Boy
『ファントム・スレッド』キャスト・スタッフ
| 監督 | ポール・トーマス・アンダーソン(Paul Thomas Anderson) |
| 脚本 | ポール・トーマス・アンダーソン(Paul Thomas Anderson) |
| 製作 | ポール・トーマス・アンダーソン(Paul Thomas Anderson) |
| ミーガン・エリソン(Megan Ellison) | |
| ジョアン・セラー(JoAnne Sellar) | |
| ダニエル・ルピ(Daniel Lupi) | |
| 音楽 | ジョニー・グリーンウッド(Jonny Greenwood) |
| 配給 | ビターズ・エンド/パルコ |
| 公開 | 2017年12月25日 |
| 2018年5月26日 | |
| 上映時間 | 130分 |
レイノルズ・ウッドコック:ダニエル・デイ=ルイス(Daniel Day-Lewis)
アルマ・エルソン:ヴィッキー・クリープス(Vicky Krieps)
シリル・ウッドコック:レスリー・マンヴィル(Lesley Manville)
ジョアンナ:カミーラ・ラザフォード(Camilla Rutherford)
ヘンリエッタ・ハーディング伯爵夫人:ジーナ・マッキー(Gina McKee)
ドクター・ロバート・ハーディ:ブライアン・グリーソン(Brian Gleeson)
バーバラ・ローズ:ハリエット・サンソム・ハリス(Harriet Sansom Harris)
モナ・ブラガンザ王女:ルイザ・リヒター(Lujza Richter)
レディ・ボルティモア:ジュリア・デイヴィス(Julia Davis)
ロード・ボルティモア:ニコラス・マンダー(Nicholas Mander)
ピーター・マーティン:フィリップ・フランクス(Philip Franks)
ティッピー:フィリス・マクマホン(Phyllis MacMahon)
ルビオ・ゲレロ:サイラス・カーソン(Silas Carson)
ジョージ・ライリー:リチャード・グレアム(Richard Graham)
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