2023年に制作された映画『関心領域』(原題:The Zone of Interest)は、第二次世界大戦中、アウシュヴィッツ強制収容所の隣で暮らした所長ルドルフ・ヘス中佐とその家族の生活を描いた歴史ドラマ映画です。
第96回アカデミー賞では作品賞を含む5部門にノミネートされ、国際長編映画賞と音響賞を受賞しました。
『関心領域』の挿入曲
『関心領域』の挿入曲を流れた順番に紹介していきます。(ネタバレにご注意ください)
ルドルフの誕生日の朝、妻が赤ん坊に話しかけながら庭に咲いている花を眺める(収容所で流れる曲)
(Chinese Street Serenade)
作曲者 | ルートヴィヒ・ザイド(Ludwig Seide) |
Artist | Students from the University of Michigan School of Music |
ナチスドイツ強制収容所には被収容者によるオーケストラが組織されていました。オーケストラのメンバーは、被収容者が強制労働に出かける時の行進曲から総統警護隊の為のコンサート/余興まで、様々な種類の曲を演奏しました。
『Chinesische Straßenserenade』は、そのオーケストラによって実際に演奏されていた曲です。アウシュビッツの男性オーケストラのメンバーだったポーランドの政治犯によって編曲されたものからの抜粋です。
子供達が庭のプールで大騒ぎするのを大人たちが見守る(収容所で流れる曲)
ルドルフが妻に転属が決まったことを告げるシーン
ワルツ《ウィーンの森の物語》作品325
作曲者 | ヨハン・シュトラウス2世(Johann Strauss II. 1825-1899) 19世紀にウィーンを中心に活躍したオーストリアの作曲家/指揮者。 初代「ワルツ王」ヨハン・シュトラウス1世の息子。ワルツ、ポルカをはじめとする舞踊音楽の名曲を数多く残しワルツの人気と発展に多大な貢献を果たす。父親の死後「ワルツ王」の名を継承しヨーロッパ中で絶大な支持を獲得した。 |
作曲年 | 1868年 |
Artist | St. Anthony Civic Orchestra |
『ウィーンの森の物語』は、シュトラウスが1868年に作曲した演奏会用のウィンナ・ワルツです。
オーストリアのウィーン郊外やニーダーエスターライヒ州東部に広がる広大な森林地帯「ウィーンの森」の美しさが描写されています。この土地は、11世紀以来19世紀中頃まで王室の狩猟場として使われ、現在では人気のレクリエーションエリアとされています。
ルドルフが夜中に厩舎を訪れ、愛馬メーレルとの別れを惜しむ
作曲者 | フランツ・フォン・ブロン(Franz von Blon, 1861-1945) ドイツの作曲家/指揮者/ヴァイオリニスト。 |
作曲年 | Mostar Symphony Orchestra |
少女が折り目がついた手書きの楽譜を見てピアノを弾く
サンビームス(太陽の光)
作曲者 | ヨーゼフ・ヴェルフル(Joseph Wulf, 1912-1974) ドイツ生まれのポーランド系ユダヤ人歴史家。 アウシュビッツ強制収容所の生存者。アウシュビッツに収容されるまでレジスタンスの戦士として活動し、戦後にナチスドイツとホロコーストに関する著書を数冊執筆した。 |
『Sunbeams』は、ヨーゼフ・ヴェルフルが、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所で作った曲です。
ルドルフが野外コンサート場の前を通り仕事場にむかう(軍のブラスバンドによる演奏)
作曲者 | ユリウス・ゲロルト(Julius Gerold, 1808-1876) ドイツの作曲家/編曲家/指揮者/陸軍音楽監督。 |
ベルリンでルドルフがホームパーティに参加する(弦楽隊が演奏する)
ティヴォリ – ルーチェ Op.39(弦楽四重奏編)
作曲者 | ヨハン・シュトラウス2世(Johann Strauss II. 1825-1899) 19世紀にウィーンを中心に活躍したオーストリアの作曲家/指揮者。 初代「ワルツ王」ヨハン・シュトラウス1世の息子。ワルツ、ポルカをはじめとする舞踊音楽の名曲を数多く残しワルツの人気と発展に多大な貢献を果たす。父親の死後「ワルツ王」の名を継承しヨーロッパ中で絶大な支持を獲得した。 |
作曲年 | 1830年 |
Artist | Vienna String Quintet |
『関心領域』のサントラ
『関心領域』はミカ・レヴィ(Mica Levi)が音楽を担当しました。
ミカ・レヴィは、イギリス出身の作曲家/ミュージシャンです。『アンダー・ザ・スキン』や『ジャッキー』などの音楽を担当したことで知られています。
『関心領域』キャスト・スタッフ
監督 | ジョナサン・グレイザー(Jonathan Glazer) |
脚本 | ジョナサン・グレイザー(Jonathan Glazer) |
原作 | マーティン・エイミス(Martin Amis) |
製作 | ジェームズ・ウィルソン(James Wilson) |
エヴァ・プシュチンスカ(Ewa Puszczyńska) | |
音楽 | ミカ・レヴィ(Mica Levi) |
配給 | ハピネットファントム・スタジオ |
公開 | 2023年12月15日 |
2024年5月24日 | |
上映時間 | 105分 |
ルドルフ・ヘス:クリスティアン・フリーデル(Christian Friedel)
ヘートヴィヒ・ヘス:ザンドラ・ヒュラー(Sandra Hüller)
オズヴァルト・ポール:ラルフ・ハーフォース(Ralph Herforth)
ゲルハルト・マウラー:ダニエル・ホルツバーグ(Daniel Holzberg)
アルトゥール・リーベヘンシェル:サッシャ・マーズ(Sascha Maaz)
エレオノーア・ポール:フレイア・クロイツカム(Freya Kreutzkam)
リンナ・ヘンセル:イモゲン・コッゲ(Imogen Kogge)
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